ソウル・フラワー・トレイン/ロビン西

ロビン西さんの作品は「マインド・ゲーム」しか読んだことがなくて、それも4℃のアニメ版「マインド・ゲーム」がきっかけだったので、印象がごっちゃになっていたのだけど、この短編集を読んであらためて、すごい…!と興奮してしまった。
ただ、奥付を見ると、1990年から2007年まで、かなりばらつきのある作品群なので、もしかしてものすごく寡作なひとなんではないか…と今さら気付いてがっくりしています。もっと読みたいこの気持ちをどうすればいいのか…!

ソウル・フラワー・トレイン (BEAM COMIX)

ソウル・フラワー・トレイン (BEAM COMIX)

冒頭「MONKEY」は高校生の男の子が50ccバイク(モンキー)を手に入れるとこからはじまるおはなし。勢いのある展開の見せ方、アクションの描き方にも台詞回しにも、独特のリズムがあって、なんとなく、このひとの作品をアニメ化するって思い付いた人の気持ちが想像できたように思いました。だって漫画が動いてるみたいなんだもんな。読んでてすごく楽しい。
表題作にもなっている中編「ソウル・フラワー・トレイン」は、大阪の大学に通っている娘に会いにいくお父さんが、電車の中で意気投合したおっさんに大阪案内してもらうお話、なのだけど。その大阪観光のくだりがすごくたのしくって、読んでるこっちまで浮かれてしまうようだった。わたしもおっさんと大阪観光したい。そんで通天閣から夕日みたい。
ほかの短編を読んでも思ったけれど、この人の作品はどれも、とても気持ちの良い終わり方をする。切ないこともたくさんあるけれど、いつもなにかを信じるような気持ちが残されていてうれしくなる。登場人物たちの表情が豊かなのもすごくいい。ガッツポーズしたいくらいいい。