『べしゃり暮らし』1〜5巻/森田まさのり


やっと読みました『べしゃり暮らし』!
「さよならテリー・ザ・キッド」さんのレビュー*1を読んでから、見かけたら買おうと思っていたものの機会を逃してたのが、ドラマ化されたルーキーズ効果なのか、最近書店にドーンと並んでいたので既刊分大人買いしました。やー楽しい!

べしゃり暮らし 1 (ジャンプコミックス)

べしゃり暮らし 1 (ジャンプコミックス)

ヤンジャン版はこっち→asin:4088772741
森田まさのりさんの漫画をちゃんと読むのって、実ははじめてです。私がジャンプ買ってた小学生当時、『ろくでなしBLUES』は既に始まってたはずだけど、なんか大人の漫画だなーとか思って、そんなにちゃんと読んでなかった。だから、あれ、こんなに面白い漫画書く人だったのかーって正直ちょっと驚きました。その反面、でもやっぱりジャンプっぽくないよなとも思った。
この『べしゃり暮らし」は、当初ジャンプに掲載されていたものが、打ち切り(でいいのかな?)→ ヤングジャンプ移籍、になったそうです。でもまるで、1巻からヤングジャンプで連載されてた漫画みたいだなって思うんですよね。つまり、今出てる1巻から5巻までに、開いた時期があったとは思えない、ていうか、最初からこういうふうに描くつもりで描いてるように読める。すると、やっぱりこの先、高校卒業後がメインになってくんだろうし、そうするとやっぱジャンプじゃないだろなーって思う訳です。まあ,その辺は私は今になって読み出したからってのもあるとは思うけど、ブレない伏線の張り方、展開の上手さはすばらしいなと思いました。

べしゃり暮らし」は、いつもおもしろいことが言いたくてたまらない主人公、上妻圭右が、元芸人の転校生、辻本と出会い「漫才」を志すようになる…というストーリー。
「お笑い」をテーマにしているだけあって、あちこちに圭右の「笑いどころ」がちりばめられています。そんでこれが、まあ面白いんだけど漫画として読んでるこちらが爆笑してしまうような感じではない。だから、「笑い」の漫画だけど「ギャグ漫画」じゃないし、物語の筋を追うのが楽しい漫画だよなーとか思って読んでいた。(余談だけど、ギャグ漫画だって真顔で読んでてもすごい面白いって感じるものもあれば、つい笑っちゃって,すごく楽しいものもある。面白さってのは単純に笑えるかどうかだけじゃなくて、求心力とかそんな感じだと思う。)
圭右のギャグはたまにサムかったりもするけど、『学園の爆笑王』名乗っちゃったりするとこなんかは、海賊王やリバウンド王目指してる、往年のジャンプヒーロー達との共通点もあるし、特に初期スラムダンクと雰囲気近い、この、これから目覚める天才な感じがいいねーなんて思いながら、私は学園ドラマものとして『べしゃり暮らし』を読んでいた。

でもです。この遠目に見てる感覚すら、まさのり先生の掌の上だったんだね…! てわかるときの、このカタルシスがたまりません。

ここで分かるのは、少年ジャンプでやってたのは前フリに過ぎなかったということです。上妻が「おしりっぴょーん」とか言ってるだけで周りが爆笑してて、読者は「え…?」ってなってたのも、全部この金本発言を際立たせる為のお膳立てだったんですよ!ええー!ジャンプ時代って単行本にして3巻分あるのに!でも全部つながったー!気持ちいいー!みたいな驚きと感動がありました。
「『べしゃり暮らし』おもしろい - さよならテリー・ザ・キッド」

ほんと気持ちよかったなー。そして5巻で描かれる圭右の癖についても、あーなるほどねーと思ったというか、ほんと丁寧に描かれてる漫画だなーて思って1巻から読み直したりしました。すごく楽しいです。そしてもっとたくさんの人におもしろがって欲しい漫画だなと思います。

べしゃり暮らし 2 辻本祭りが始まる (ヤングジャンプコミックス)

べしゃり暮らし 2 辻本祭りが始まる (ヤングジャンプコミックス)

べしゃり暮らし 3 きそばAT (ヤングジャンプコミックス)

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べしゃり暮らし 5 ド天然 (ヤングジャンプコミックス)

べしゃり暮らし 5 ド天然 (ヤングジャンプコミックス)


ところでいっこだけ、あの眉間から鼻筋にかけての影のつけ方が気になるんですけど昔からこういう癖だったかな…。