秒速5センチメートル

秒速5センチメートル 通常版 [DVD]

秒速5センチメートル 通常版 [DVD]

公開時に見るつもりだったのに結局見に行けなかったのですが、ちょっと前に話題になったエントリで(女性に見せるには)「地雷」と書かれており、さらにブクマコメントでも地雷と評判の高かったのを見て*1、(嫌な動機ではありますが)見てみました。
物語は小学生のころに出会い、互いの転校によって離ればなれになってしまった男の子と女の子の初恋を3話オムニバスで3つの時間から描くというもの。
結論からいえば、少なくとも地雷だとは感じなかった。主人公の男の子(成長してやがて大人になるまで描かれる)が、ちょっとなんていうか酔ってるみたいな感じがしないでもないですが、1話めの、東京から栃木まで会いに行くところとかは緊迫感があってよかった。待ち合わせをして、携帯もなくて、でも雪で電車が遅延して…という状況の中であせるかんじ。モノローグで「かえっていてくれ…」というとことか、10代ぽい!青い!とか思って悶えた。あと2話めで主人公のことを好きになる女の子(2話めはこの子の視点で描かれる)の、“わかってしまう感じ” は、素直に、とても切ないと思った。
わたしは「ほしのこえ」を見た/読んだときすごく感動したんですけど、(id:ichinics:20050315:p2)、この「秒速5センチメートル」を見て、“距離によって引き裂かれる悲恋” というテーマは、新海監督の続いてくテーマなのだなと思った。
まあ、そこをあらかじめ受け入れてしまってる時点で、私はやっぱりあの質問で想定される「非オタ女子」ではないんだろうな…。
でも、この映画でなにより印象的だったのはやっぱり美術だった。
新海監督独特の背景美術は必ずしも私の好みというわけではないのだけど、桜の木の下を二人が走っていくシーンの美しさ、特に光の描かれ方のこだわりは、監督の個性としてすっかり確立されているし、インタビューを見てみても、人物を背景に溶け込ませるためにとても細かな影の動かし方をしているのを見て、たぶん3話通していちばん美しく描かれていたのが、もっとも古い記憶であるあの場面で、初恋だもんなぁ…などと何か納得したような気分になったのでした。
それから、この主人公の声がどこかで聞いたことがあるようなと思ったら、「月光の囁き」に出ていた水橋さんの声だった。