UNCLE

ところで伯父さんといえば、UNCLE、UNCLEといえばUNKLEですけど、UNKLEといえば思い出すのは片山(仮名)君のことだったりする。
あれは確か大学の実習中で、私たちは夏の暑いさなか、機材を持って大学のそばの公園をうろついていた。片山君は長唄をやっていて一年中雪駄であるいてるような人だったんだけども、それは特に関係なくて、そのとき片山君がしきりに「今度出るおじさんのアルバムがすごい面子なんだよ」と言っていて、私はてっきり長唄のアルバムなんだろーと思い「さすが片山君…」とか思って聞いていたのだけど、それからしばらくして、バイト先に入荷されたUNKLEのアルバムみて笑った、とか、たぶん当時はそんな光景が日本のあちこちで繰り広げられていた、かどうかはわからないけれど、ジェームズ・ラヴェルにDJシャドウ、トム・ヨークにリチャード・アシュクロフト…なんてこれ以上ないほどの豪華面子を見れば、そんな気分になるくらいの盛り上がりがあったのは確かだった。
週に3回入荷される新譜は宝の山だったし、ライブのチケットとれるかどうかに必死になって早起きしたりバイトの休み時間に非常階段で電話かけたり、音楽雑誌はほとんど読んでいなかったけれど、早番のまだお客さんがいない時間帯に中古盤のライナー読み漁ったりとか、常連のおじさんのすすめるレコードを片っ端から買ってみたりとか。新旧問わず、新しく好きになるバンドがひっきりなしに現れていたような気がする。
今はそれがなくなったというわけではないけれど、わけではないんだけれど、この前大学時代の友達に会ったときに「すばらしい日々の歌詞が最近身にしみて」という話をしていて、なんかちょっと思うところもあって、なんていうか「なつかしい歌も、笑い顔も」とか、大事なものをちゃんと大事にしてくことってけっこう難しい。
でもいつだって新しく好きになるものはあるし、こうやってふと思い出すみたいに、そのやり方がかわっても、残ってくもはあるような気がする。たまに「God knows you're lonely souls〜」の歌い出しがこびりついて離れなくなるときみたいに。