呼び名、家族の顔

週末、以前の勤め先の友人とご飯を食べた。彼女とは同い年でもう10年近い付き合いになるのだけど、勤め先では私が先輩だったせいか、相変わらず少し敬語交じりで話す。なので、私もつられて先輩風のしゃべり方になってしまうことがあって、なんだか気恥ずかしい。
そういった、出会った当時の癖というのはなかなか消えないもので、例えば「○○さん」と呼んでいる相手のことを、いつ「○○ちゃん」と呼びかえればいいのかわからずにタイミングを逃していることも多く、この前も酔っぱらった友達に「いつになったら苗字にさん付けやめてくれるの」と詰め寄られたばかりだ。おそるおそる「マキちゃん」とか呼んではみたものの、今こうして書いていても照れくさいのはどうしたらものだろう。
自分もそんなだから、彼女にも「敬語やめようよ」とは言えずにいるのだけど、そういった言葉の距離感と親密さとは、まああんまり関係ないのかなとも思う。

おなかいっぱいになった後、喫茶店に移動して話をしていたら、そういえば、と彼女は妹の写真を見せてくれた。妹のことはよく話に聞いていたのだけど、写真を見たのははじめてだった。
彼女が「ぜんぜん似てない」と言っていたように、確かに似てないのだけど、どことなく表情が似ているような気がする。私がそう言うと、「たまに鏡だって気づかずに、妹に似てる人いるなと思ったら自分だったりってことがある」と話していて、そういうのは自分にもあるかもなあと思った。
私には弟が2人、妹も1人いて、全員ぜんぜん似てないしよくそう言われる。
けれど、ちょっとした表情の癖みたいなものが、うわーと思うほど似ていたりもして、例えば夫婦が血のつながりもないのに年をとると似てくるのは、お互いを見て暮らしてるからなのかもなとか思った。