内ポケットにいつも

高校生の頃の自分といえば一番の友達はウォークマンだった。中学生の頃は嫌で仕方なかった女子校の生活も、高校にあがればそれなりに楽しくなったんだけど、なぜか友達と趣味の話をすることはなく、ほとんどひとりでCD屋を巡ってテープを編集して、授業中もずっと、ブレザーのそでにイヤホン通してたような気がする。当時は、自分が何を好きなのかまだよくわからない状態だったから、ラジオのベストヒットみたいな番組を毎週テープにとったりもしていた。そうやって次に買うCDを熟考して「あたり」だと思ったときはほんとうに嬉しかったし、熟考の末にあつめたCDやラジオの音源からテープを編集するのも楽しみだった。
当時のことを思い出すときにいつも思い浮かべる曲というのがあるんだけど、私はそこに描かれてる男の子のことが、すごく好きだった。あこがれと親近感が入り混じったような気分で、こんな子と友達になりたいなーと思っていた。
今あらためて聞いてみると、それは今の私を高校生の頃に引き戻すようで少し切ないんだけど、そんな風に、まるで自分の記憶のような音楽があるってことに、あらためて感謝したいなと思う。