百聞と一見

毎日通る商店街の、2階にある定食屋からはいつもオイスターソースの匂いがする。
それが何だかよくわかってなかったときはいくら名前聞いてもちっとも覚えられなかったのに、いちど興味をもつと、目も耳もそれ用になってあれこれ頭に入ってくる感じ、をひと言でいうと「百聞は一見にしかず」なのかなと思うけど、百聞の後の一見と、はじめっから一見するのとじゃぜんぜん違うような気がする。
一見の後にこれまでの百聞がぱたぱたと意味をなす感じって、なかなか出会えることじゃない気がするけど、一度スイッチが入ったらもうそれにしか見えなくなるからすごい。
食べ物の味付け覚えるときもそんな感じで、これとこれであの味、って知る前は思いつきもしないのに、なるほどあれはオイスターソースの匂いだったのか…とかわかるようになるのって不思議だ。
そんな風に、もっと知りたいって思うのは、何かわかった、って思う瞬間なのかもしれなくて、その何かを大事にしたいのに、あっという間になくなっちゃいそうでもっとって思う。