読書日記

通勤時間が短くなった分だけ本を読む時間が減っていて、そういえば昔から、家で本を読むことってあまりない。
最近は昼休みと会社帰りの寄り道とたまに風呂。電車の中ではすぐにうとうとしてしまうから、本はあまり読まない。窓の外を眺めるのは、少し歩くことに似ている。

昼休みによく行く喫茶店に、ほぼ毎回顔をあわせる人がいるんだけど、その人はいつも私より5分くらい後にやってきて、たいていサンドイッチを食べながら、文庫本を読みはじめる。文庫本にはいつも皮のカバーがかかっているので、3年近く顔をあわせていながらいつもどんな本を読んでいるのか知らずにいたのだけど、今日、となりに座っているその人の手元を何気なく見たら、「ハイペリオン」の文字が見えておもわず盛り上がった。
それはもちろん頭の中だけのことだけど、自分の知っている物語を隣にいる名前も知らない人が読んでいるっていうのはちょっといい。

そのとき私が読んでいたのは「1Q84」だったのだけど、すごく売れてるって聞いたせいか、いつもはカバーなんてしないのにちゃんとカバーしてる自分のこれは何だろう。恥ずかしいのとはちょっと違うけど、照れくさいような、と思いつつそんなのどうでもいいくらい面白くてうれしい。すごく村上春樹だ、と思いながら読む。一人称じゃないのにそう思うのははじめてかもしれない。
もったいないのでゆっくり読むことにする。でもいつの間にか、帰り道には寄り道をして、本を開くのが楽しみになっている。