次世代傘

駅を出ると雨が降っていたので、そのまま構内にある花屋さんで傘を買った。黄色だった。つい「花屋だけに黄色か」と思ったけれど、なにが「だけに」なのかよくわからない。ただ、雨の日にこんなふうに、つい傘を買ってしまうのは、花屋さんが傘を売るほどに「よくある」ことになっていて、こうなったら傘が進化するのが早いか、傘のリサイクルが一般的になるかだな、なんてことを、行きずりの傘たちでいっぱいになった家の傘たてを見て思う。ぜんぶ透明だったので、黄色が入ってちょっと華やかになった。
私が初めてビニール傘を買ったのはいつだったか、もう忘れてしまったけれど、傾けても視界がさえぎられないので便利、でも隠れないのは恥ずかしい、と思ったのは覚えている。

その黄色の傘を持って六本木でやっている展示に行くと、この券で展望台にも入れます、というので寄ってみた。
エレベーターはとても静かで、扉がしまってしばらくして、チンとなるともう52階。先ほどまで歩いていたはずの町並みも、遠く離れると、まるでおもちゃみたいに見える。もしくは、あの静かなエレベーターが上ではない場所に移動したのかも、などと考えてみたりして、
ふと、押井守監督がイノセンスの試写で「人は自分の体から近いものに関しては、見慣れぬ形状を本能的に拒否するものだ」と話していたのを思い出して、未来の傘、のようなものを想像しようとしてもなかなかできないのはそういうことなのかなとか思う。この次世代傘(http://journal.mycom.co.jp/news/2009/06/11/038/index.html)なんて全然次世代じゃない。もっとこう、目からウロコが落ちるような傘がそろそろ発明されてもいい。
なんてことを前にも書いたなーと思って検索してみたら、同じ雨の日に同じ押井さんの話を思い出していて(id:ichinics:20050225:p2)、自分はもう繰り返しに入ってるのかなと思って少しこわくなった。こわいとおかしいはちょっと似ている。

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