眠い日

雨の後の大きな夕焼けを見ていて、空が上からじゃなくて下からだんだんと染まってくのは面白いなと思う。日が落ちきる瞬間を見たいと思って眺めていても、いつもその瞬間には目をそらしていて、不意に街灯を明るく感じてようやく、夜になってることに気づいたりする。
満員電車は嫌いだけど、晴れの日の昼過ぎの電車は好きだ。まぶしくて本とか読みにくくてあきらめて閉じて、待ち合わせの時間には余裕あるなって安心しつつ、ぼんやり、本の続きとか食べたいもののこととか今日見た夢のこと思い出したりしてる時間は、なんとなくしあわせのような気がする。
中学、高校時代、通学に使っていた井の頭線に乗ると、よく電車の中で眠りこけて吉祥寺〜渋谷間を何往復もしていたことを思い出し、もう何年も電車に乗りっぱなしでいるような気分になる。新代田あたりのあじさいとか、桜は渋谷寄りのどこかでとか、明大前の駅のホームにあったあの小さな池はまだあるんだろーか、とか、思い出すときにはいつも、そこを過ぎてしまっている。
とても天気がよかった朝、カーテン越しの光がきれいだなーって布団の中でカメラをいじったり、網戸をとるとテレビ画面みたいになるのかと思ったり、そのまま小さなベランダへ出ると向かいの家の人と目があい、会釈をしたりした。おはようございます、と、聞こえもしない挨拶を(頭の中で)して、まぶしいなあとか思いながら、カーテンをクリップで閉めてまた眠った。