「あたたかい肩」/雁須磨子

あたたかい肩 (BEAM COMIX) (ビームコミックス)

あたたかい肩 (BEAM COMIX) (ビームコミックス)

雁須磨子さんの、いろんな雑誌に掲載された作品を集めた短編集。
あとがきにも書かれているけれど、どの作品も少しずつ雰囲気が違って、バラエティにとんだ短編集だなと思いました。それでもやっぱり、全体的にのんびりしているところが、雁須磨子さんの漫画の独特であり、好きなところでもあります。
特におもしろかったのは、「何段BOX」その1とその2。いつも見ていた日記がなくなってしまって、というその1と(これについては下に)、恋人の長年のメル友に嫉妬するのやだなーでも気になるなー、という葛藤を描いたその2。漫画にでてくるインターネット関連って不自然に感じられることも多いけど、この2作は気持ちの背景としてとてもしっくりきていた。
それから「保健室のせんせい」もよかったな。保健室の先生がつけてる「点数」の秘密のお話なんだけども、少し不穏な空気を醸し出しつつ、最後、ああそういうことかって、腑に落ちる。そこで交わしてる書き文字の会話なんかもいいです。
「青緑を飲み干す」は、雁須磨子さんの作品ではちょっと珍しいような気がする、高校生のお話。いったりきたり、迷いながら、息継ぎする感じが、さわやかだった。
中高生の頃、文集にのってた先輩の俳句(よく覚えてないけど、なみだと鼻水がでるのはふられたからじゃなくて花粉症だよばか、とかそんなの)を思い出したりした。なんでか。