冷蔵庫の中のケーキ

いろんな物語を読んだり見たりしていると、自分の弱点みたいなものがだんだんと見えてきたりもするけれど、私にとってそのひとつがたぶん「冷蔵庫の中のケーキ」なんだと思う。みんな大好きシュレーディンガーの猫っぽいけど、要するに、帰ったら食べようって思ってた冷蔵庫の中のケーキが、開いたらなくなってたときの感じ。
もちろん、実際はケーキひとつ食べられてしまったくらいで泣いたりはしないけど、なんていうか、その冷蔵庫のドアを開くまではその向こうにあったものが、開いたとたんになくなってしまうというようなことにとても弱い。

ずっと前、遠くに越してしまった人と2年くらい経ってから久しぶりに会う約束して、ほんとにすごく楽しみにしていたのに、数ヶ月後、いろいろあって飛行機が飛ばなくてそれきりになってしまったことがあった。
そんな風に、叶わなかったいろんなことを思い出すと悲しくなるけど、やっぱりケーキは楽しみだし、もしなくなってたらどうしようって思いながら過ごすのもつまらない。
そして、私はたぶん、冷蔵庫を開ける前に「ケーキはもうないよ」って言われたとしても、開けてみるまでは向こうにケーキがあると思っているのだと思う。ばかだなーと思うこともあるけれど、もしかしたら冷蔵庫の中には何か別のものを見つけられるかもしれないし。
とか考えながら風邪で休んだ日、冷蔵庫をあけて、ヨーグルトの賞味期限が切れてなかったことに喜びつつ食べたら熱で味がしなくてすこし寂しかった、という日記です。