好きなもの

例えば、バスの後部座席、もしくは人の少ない昼下がりの電車で、窓越しに見える晴れた日の緑色。暑い日の麦茶、汗をかいたグラスを脇において、寝転んだござのにおいに眠くなりながら、遠くから聞こえるピアノの練習にあわせて何かを思い出しそうになる。
好きなものは干したての布団とあたらしいシーツ。休みの日の偶然の早起き、読みかけの本とコーヒー、クリームソーダのアイスの裏、なんて、思いつくままにキーボードを打つときのわくわくする感じ。
言葉がするすると出てくるときは調子がいい。焦って話すといつも後悔する。たくさん考えて結論だけ見つかっても、言わず仕舞いのことはたくさんあって、
手を開いて深呼吸をして、まず浮かぶのはやっぱり好きなもののことだと思う。