- 作者: 元町夏央
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/11/30
- メディア: コミック
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- 作者: 元町夏央
- 出版社/メーカー: 双葉社
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この人の作品は、なんとなく、こわいなと思うところがあって、それは何でなのか気になっていた。
たぶん、最初に読んだ「熱病加速装置」の冒頭に収録されている『てんねんかじつ』のイメージだと思うのだけど、この人の描く、感情があらわになる瞬間っていうのは、なんだか熟しきった果物みたいな、ちょっとべたべたした感じがある。その印象は比古地朔弥さんの「まひるの海」を読んだときの感覚とちょっと似てるんだけど、「まひるの海」を読んだのは連載当時のことなのでちょっとよく覚えてない。
ただ個人的に、思春期のリビドーが、報われて(?)しまう場面というのが、苦手なのかもしれないなあと思った。リビドーって。って感じですが、ちょっと他の例を考えてみたいと思います。
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『てんねんかじつ』は両親の再婚によって姉弟となった2人の関係を描いたものなのだけど、「あねおと」もまた、事情は違えど、一つ屋根の下に暮らすことになった女の子と男の子のお話なので、たぶんこれは作者のこだわっているテーマのひとつなんだろうなと思います。
「あねおと」は連載作品だからか、足取りがゆるやかで、『てんねんかじつ』よりは読みやすい。同時に、バランスがとれてしまったようなさみしさもあるのだけど、死を間近に感じる印象的な場面がいくつかあって、やっぱり独特の漫画を描く人だなと思いました。
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これまで読んだこの人の作品の中では「熱病加速装置」に収録されている「橙」が一番好きだ。8歳の女の子が主人公のお話で、離れて暮らすことになった父親と久しぶりに会った1日を描きながら、彼女が考えていることが、その表情や視線から染み出すようで切ない。特に、その1日の終わりに、迎えに来た母親の横を歩く場面がとてもいいです。