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種を送ってもらった。茶色い封筒の中に入っていたメモを読み、折りたたまれたティッシュを開くと小さな種が10粒ほど入っていた。種の寿命は5年程度、と書いてあったので、とりあえず3粒ほど埋めてみることにする。
土に指を挿して引き抜き、できた穴に種を落とす。「掘っても掘っても指先に、触れてくるのは柔らかな、思い出ばかり」という歌を思い出し、慌ててそっと土をかける。

メニューをめくりつつ「最近油っぽいものダメになってさあ」と言うので、私も揚げ物、ちょっと苦手になったかも、と答える。野菜おいしいよね、特に暑くなるとね、あ、でもモツ煮込みは食べたい、いいねえ、なんて適当に注文済ませて、ビールが手元にきたところでやっとひと息つく。
最近は魚が好きだなー。私は断然サバですね。えー脂っこいじゃん。いや、私が苦手になったのは揚げ物だし。あ、でもトンカツは食べたい。いいねえ。さっき串カツありましたよ。なんて再びメニュー開いて頼んで、でもまあ油っぽいものも食べたいよね、まあね、嫌いなモノなんてあんまりないよねえって話をする。
年をとればとるほど、どっちでもいいことが増えてくような気がする。もっと頑固になるかと思ってたけどね。なってるかもしれないけどね。でもまあ、頑固って言われたとしても、どっちでもいいよねえ。
なんて言いながら、冷奴に乗った茗荷をせっせとよけているのを見て、言ってることとやってることが違うじゃないですか、と笑ったりする。

蒔いた直後から雨が続き、気温も落ち着かないので、もしかしてだめかな、なんて思っていた種が、今朝めでたく芽をだしていた。
もしかして「芽が出る」から「めでたい」なのかな、と思って辞書をひくと、めでたいは「愛でる」が語源であると知り、拍子抜けしたけれど、めでたいはめでたいので、まあいいかと思う。


半端に書いた日記がふたつあったので、挟んだ。