「かぶく者」1〜7巻/漫画:たなか亜希夫 原作:デビッド・宮原

かぶく者(1) (モーニング KC)

かぶく者(1) (モーニング KC)

友だちに貸してもらって読みました。とても面白かった!
物語の主人公は新人歌舞伎役者の、市川新九郎。彼は最初から「天才」として描かれているのですが、その才能だけでは「歌舞伎」は成り立たない。一見傲慢にも見える新九郎が、タイプの異なる様々な先輩役者たちとの演技の応酬から、多くのことを学んでいく過程が読んでいてわくわくします。
なにより、新九郎の天才であるゆえんが、まずご見物(観客のことをそう呼ぶのだそうです)の心を感じる力にあり、ご見物を満足させることを第一に考えている、っていう設定が良い。さらに、伝統と家柄を重んじる歌舞伎の世界で、「血筋」という後ろ盾のない新九郎に降りかかる困難もまた物語を面白くしています。いいね! こういう、努力する天才の物語大好きです。
この「かぶく者」は、いわば歌舞伎版の「ガラスの仮面」や「昴」といったイメージなのですが、例えばマヤの白目のように、やはり演技をつかむ瞬間が見せ場となっています。その多くは見開きで描かれる大ゴマなのですが、これがどれも魅力的でぐっとくる。
それから、ちゃんと素の顔と化粧を描き分けつつ、同一人物であることをわからせる作者の画力がこの作品の説得力であり、面白さの要だなとも思う。中でも、人気女形であり、新九郎のよき味方となる恋四郎の舞台は印象的でした。
続きがとても楽しみです!
かぶく者(7) (モーニング KC)

かぶく者(7) (モーニング KC)