「引き潮」/いましろたかし

引き潮 (ビームコミックス)

引き潮 (ビームコミックス)

漫画を読んでいると、ある程度「こうなるかな」なんて予想しながらページをめくっていることがあるけれども、この「引き潮」という本は、どのお話を読んでもラストはまったく想像外のところへ放り出されるかんじだった。現実と地続きにあるような説明のつかなさがあって、つい事実は小説より奇なりという言葉を思い浮かべてみたくなる。
おちのない話を、ビール片手に聞いてるような感じ。でもけして退屈ではなく、つい前のめりでページをめくってしまうのは、やはり組み立てのうまさなんだろうなと思います。むしろ、読者の予想を予測しながら「そうならなかったこと」を語っているのではないかとすら思う、けど、どうなんだろう。
「ハーツ&マインズ」の頃のような切実さとは明らかに違っているのだけど、あの延長線上にこの「引き潮」があるのは確かで、でもそれを簡単に結びつけられない感じも、いましろたかしさんらしいなと思います。