「月に囚われた男」

監督:ダンカン・ジョーンズ
公開時に見にいけなかったのでDVDで見ました。とても好みの作品だった。

近未来、燃料資源を採掘するために三年契約で月に派遣されている男、サム・ベル(サム・ロックウェル)が物語の主人公。
契約満了を目前にして事故にあった主人公は、目が覚めた後、どこか記憶がおかしいことに気付く。どうにかして事故現場へ向かってみると、そこにはもう1人の自分が倒れていて…という物語。
ほぼ1人の役者と世話役であるロボット(ガーティ)だけを登場人物として描かれるシンプルな構成ながら、画面から目を離せない映画でした。
もう1人の自分が何者かという点については、すぐに予想がつくのだけど(そこを謎としては描いてないと思う)、それでは観客はどの彼を「主人公」として見るのか、という点はきっと、見る人ごとに意見がわかれるだろうつくりになっていたのが面白いなと思いました。

よく、自分のコピーロボットと話をしてみたいということを考えるんだけど、それは相手に心配をかけてしまうかな、とか、誤解されるかなとか考えないですむ(コピーロボットならば最終的に自分の頭におさまるし)と思ってるからかもしれない。
でもこの映画を見ていて、自分同士の会話といっても、やはり体が分かれてしまえば他人だと思った。そして、彼がここで1人で過ごすことができたのは、帰るという目標があったからなのだろうなとも思った。

一番気に入ったのは、ガーティのモニターに映る表情だ。ガーティの体はほとんど箱だけど、サムが見ていなくても表情を変えたりするところをみると、生きているように感じたりもする。そこにある表情はたとえ記号でも、言葉以上のものがあると思いました。