散歩

寒いですね、暖かくなりましたね、雨やみましたか、今朝は雪でしたね、などなど、人と顔をあわせてまず交わす言葉は大抵天気についてだったりして、それは予定調和なのかもしれないけれど、私はそういった、助走のような会話がけっこう好きだ。
そもそも会話には、目的地があることのほうが珍しくて、散歩してたらいつのまにか、どこかに着いていた、ということの方が多いような気がするのだけど、人はよく、そのたどり着いたところを意味としてとらえなおしがちな気がする。

でも、日が長くなりましたね、とか、夏のいいところは日が長いところですよね、とか、特に意味のない話をするのはなかなか気分がよくて、その続きをまたいつかまで、取っておきたい気持ちになることもある。それはもしかしたら、意味から出発している散歩みたいなものなのかもしれない。