- 作者: いがらしみきお
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2011/07/29
- メディア: コミック
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物語は、語り手となる主人公雅彦と、その幼なじみである一風変わった少年「イサオ」の成長とともに語られる。雅彦は幼い頃から「自分の世界で生きているのは自分ひとりなのではないか」という疑問を抱えていた。一方、イサオは生まれてすぐに見た、あるものを探し続けていた。
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雅彦はイサオの持つ力のようなものに惹かれて行動を共にするのだけど、正直なところその道中の描写は、少しこわくて苦手に思うところもあった。
けれどこの1巻の終盤でイサオが言う「見ればそうなる」という台詞の描き方には、視界が一皮剥けるような感覚があって(p310〜312あたり)とても面白かった。
「見ればそうなる」ことに気づいた雅彦は、観測する視点である「私」にあまり重点を置いていないように見える。それは見たものを言語化していないからなのではないだろうか。物語はむしろ「見ていないもの」について語られているようにも感じるけれど、
たぶんこの物語は「I〈アイ〉」というタイトルにたどり着くことで、雅彦の抱えていた疑問になんらかの決着をつけるのだろうなと思うので、その「私」を見る存在としてイサオが描かれていることに、今後の展開のヒントがあるんじゃないかなと考えています。
続きが楽しみ。