一時期あちこちでタイトルを見かけ、そこで比較に挙げられていた作品が好きだったので気になっていたのをやっと読みました。たぶん表紙とタイトルだけではまったく想像もしないような内容でした。
もともとは3つの連作短編(2編+エピローグ)として発表されたようなのですが、特に2つめのお話がとても面白かったです。
物語は人間が「ロボット」に見えるという少女、毬井と、その友人の物語。第1話はそのことがメインに扱われていて、第2話では、毬井のその特性によってもたらされた能力がメインのお話です。
ここからはねたばれになるのでたたみます。
毬井によって主人公にもたらされた能力とは、「左手」を使って過去や未来に電話をかけたり、受けたりできるというものでした。過去の自分に電話をかける。そのことで過去が分岐する、のではなくて、現在の自分が、未来に対しても過去に対しても「分岐の始点になる」という設定が面白くて、しばらくそれで考え事できるなと思いました。
いくらでも分岐できる、ということは無限の平行世界があるということでもある。それは同時に「無限の可能性がある」ということにも思える。けれど、視点があるかぎりそうはならないんだな。そういうところが「シュタインズゲート」と比較されてた理由だったのかもしれない。
ただ、毬井の特性と主人公の能力、2つとも面白い設定なんだけど、2話めになってしまうと毬井の特性自体はあんまり話の内容に関係なくて、でも2話めだけだと主人公の切実さが伝わりにくいというところがちょっとバランスが悪いような気もしました。
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