ぼくのエリ

公開時に話題になっていて、いつか見たいと思っていた作品。借りてきてみました。

ぼくのエリ 200歳の少女 [DVD]

ぼくのエリ 200歳の少女 [DVD]

主人公のオスカーは、少し内気な12歳の男の子。クラスのいじめっ子に対する鬱憤を募らせていたある日、不思議な女の子に出会うところから物語がはじまります。
ボーイミーツガール映画で重要な場面のひとつが出会いのシーンだと思うのですが、この映画でのそれもとても印象的でした。
エリの身体能力的な描写は特撮的ではなく、音のみで表現されているところも多いのだけど、そこがイメージで補完できるのは出会いの場面でジャングルジムから降りるあの仕草がうまくいっていたからなのだろうなとも思います。
全編を通してとても静かな映画で、雪や、水に音が吸い込まれていくような感覚と、物語が重なっているようにも感じました。
丁寧に意味が込められているように感じる構図がいくつもあって、例えば、近所で殺人事件が起きた翌日、中庭から外にでないでね、という母親に対して鏡越しにこたえるシーンとか、視線が直接あたらないということはこんなに距離を感じるものなんだなと思ったりした。

物語は少年と、ヴァンパイアの初恋のお話、だと思うのですが、物語の主人公がオスカーであるのに対し、二人の関係について最初に覚悟するのはエリであるように感じました。
例えば、オスカーが少し意地悪して、部屋に「入っていい」と言わないシーンのエリの顔とか、ちょっと忘れられないなと思う。「吸血鬼は許可を得ないと、部屋に入ることが出来ない」というのは知っていたけれど、それをこういう描写で見たのははじめてだった。
ただ、エリに対する献身という意味ではオスカーよりも、物語の序盤に登場する彼女の「保護者」のほうが印象に残ってしまったのですが、ラストシーンはオスカーが彼のかわりになったということでいいんだろうか。それともエリにとってのオスカーはまた別の存在なんだろうか。
リメイク版である「モールス」も見てみたいです。