「25時のバカンス」/市川春子

25時のバカンス 市川春子作品集(2) (アフタヌーンKC)

25時のバカンス 市川春子作品集(2) (アフタヌーンKC)

市川春子さん2冊目の作品集。
体が貝殻になってしまった姉とその弟のお話と、土星の衛星にある女子校のお話、そして月からきた男のお話の3編が収録されています。
「虫と歌」から引き続き、描かれる物語の印象は大きくかわらないものの、画面の作り方がより細やかになったなと思う。影のつけかた、画面の余白、大事な場面でコマを重ねていくところとか、読んでいるこちらも思わず息を飲んでしまうようなリズムがある。セリフが多く、一読しただけでは難しく感じるところもあるんだけど…、それでもやっぱり作者が「ここ」と決めて書こうとしていると思われるコマの魅力は格別です。

市川春子さんの漫画には、自分が少し苦手に感じる種類のフェティシズムがあるように感じるのだけど、それがどういうことなのかいまひとつピンとこなくて感想をかくのがすっかり遅くなってしまった。
それは未だによくわからないのだけど、表題作のモチーフでもある海洋生物に対して感じる、ちょっとした怖さに近いのだとは思う。例えば、海で転んだら膝のお皿の上に云々、ていう都市伝説みたいなものをちょっと思い出す。ううっ、てなるんだけど、でもよく見てみたい、というような。