3月12日

金曜日、会社で避難訓練があって、そうか去年も3月は冬だったんだなと思った。どこをどう歩いて帰ったかというとこは今でもよく覚えているのだけど、寒かったことはすっかり忘れていた。というような話を、去年の3月11日に一緒に帰った同僚としていて、途中、高円寺で寄った喫茶店の壁一面に飾られていたコーヒーカップがひとつも落ちていなかったのはすごかったねなどと言いあって少し笑った。店主のおばあさんの「どこから歩いてきたの?」「何時間歩いてるの?」なんて質問に答えていた頃、私たちはまだ何があったのかよくわかっていなかったのだ。外は真っ暗で、携帯の電池がなかった。
同僚とともに帰宅したのは2時頃だったと思う。倒れた鏡やら散らばった本などを少し片付け、とりあえず眠った。
翌朝はすごく明るくて、いい天気であたたかくて、コンビニも開いていた。でも、昨日の朝とは続いてない感じがした。同僚を駅まで送り、部屋に戻って、テレビをつけたり消したりしてまた眠った。
日曜日、目を閉じて思い出したのはそういうことだった。それから、怖い気持ちにもいろいろ種類があるけれど、人と話をすることで、気持ちの視点はかえられることを、それからの数日で痛感したこととか。
去年の3月12日の東京は、すごくいい天気だった。今年の3月12日はその続きだなっていう気がする。