クロスドミナンス/小橋ちず

クロスドミナンス (バーズコミックス スピカコレクション)

クロスドミナンス (バーズコミックス スピカコレクション)

世界人口の約一割である「左利き」には、生まれつき五感が鋭いなどの「超能力」があるということで、右利きと左利きが区別されるようになった世界の近未来連作短篇集。
左利きの子をもった母親の葛藤、右利きと左利きの双子、「超能力」があることで逆に差別される少女、左利きに矯正された子ども、などなど、様々な立場からのお話を描きつつ、そのどれもが後味よく読めるお話でした。けして楽観的に決着するのではなく、手の届く範囲を思いながらお話を作っている感触がある、視点のバランスがよい作家さんだなと思います。
ある設定の上でいろんな立場からのお話を描く近未来短篇集という意味では、「ビューティフルピープル・パーフェクトワールド」*1に近いかもしれない。どちらも面白かったです。
しいていえば、表紙から内容の想像がつかないのがちょっともったいないような気もします。

*1:d.hatena.ne.jp/ichinics/20101212/p1