サニー 永遠の仲間たち

見に行くのがだいぶ遅くなってしまったけど、すごくよかったです。見に行ってほんとによかった。

偶然再会した余命2か月の友人の願いを叶えるために、主人公がかつての友人たちを集めようとする過程を、過去の映像と現在の様子を行き来しながら描いた物語。
彼女たちがなぜ親友になり、なぜ離れ離れになったのかということも、過去の映像の中で見えてくるのだけど、その描き方も無駄がなくてとてもよかった。
過去のシーンの雰囲気は、70年代の少女漫画に近いドタバタコメディタッチで、それは作品中にもでてくる韓国でいまヒットしているドラマたちの元ネタとルーツは近いところにあるんじゃないかと思う。
だからここで描かれる「友情」はファンタジーともいえる「理想」ではあるのだけど、現在のパートで描かれる面倒な諸々との対比としてはとても良いバランスだと感じました。
そして何よりキャラクターと配役が素晴らしかった。知ってる俳優さんはひとりもいなかったのですが、それぞれがキャラクターにぴったりで、過去と現在を行き来してもまったく混乱することがなかった。
主人公、ナミは田舎からの転校生。彼女を仲間に引き入れてくれるチュナは、正義感あふれるボーイッシュな女の子。容姿にコンプレックスを持ちつつも、明るくひょうきんなムードメーカー、チャンミ。口が達者なジニ、武器を持つと凶暴になる文学少女クムオク、ミス・コリアを夢見るポッキ、そしてクールな美少女スジ。7人のバランスが絶妙で、いくつかの乱闘シーンのめちゃくちゃな楽しさもたまらなかった。

私にとって特にぐっときたのは、リーダーであるチュナと、美少女スジの佇まいでした。
チュナはたぶん、途中でスジに指摘された通りの感情を抱いていたんじゃないかなと思うのだけど、それをことさらクローズアップするでもなく、彼女の正義感あふれる眼差しと乱闘シーンの潔さ、豪快な笑顔を存分に描いていてくれたのがよかった。「青い花」の杉本先輩と「放浪息子」のちーちゃんを足して割ったようなイメージかな。
美少女スジは「放浪息子」の千葉さんのようなキャラクターで、ほんとどのシーンでも美しく、ちょっと意地悪で、でもほんとは寂しがりな女の子。
そして彼女たちの中に入っていくナミのキャラクターもね、素直でどんくさいんだけどそれがすごくかわいくて、まさに少女漫画の主役キャラ。こんな子たち漫画にしかいないよ! って思ったりもするんだけど、でも現実はそれぞれに厳しくて、ってことを思い知らされた後の、あのビデオレターですよ。それ以降はずっと嗚咽をこらえながら見ていました。
クライマックスで使われる「サニー」を披露することになるまでの準備期間とか、もうちょっと見たかった部分もいろいろあるんだけど、それはもう彼女たちを見れないことの寂しさでもあるんだと思う。

そういえば自分も、中学生の頃に5人で仲良かったときがあった。サニーみたいにきらびやかではなかったけど、すごく仲がよくて、でも高校生になって次第に疎遠になってしまった。
サニーと違って、あの頃のメンバーが再会することはないと思うのだけど、久しぶりに思い返して切ない気持ちになったりもしました。
「今」というのは現在だけじゃなくて、そんなふうに過去の自分たちと一緒に過ごしている場所なんだなと思います。
ほんと見に行ってよかった。また時間をおいて、見直してみたいです。