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 「なんらかの事情」/岸本佐知子

なんらかの事情

なんらかの事情

すっと気持ちよくイメージが腑に落ちるところからお話が始まり、やがてあらぬ方向に転がって、そこに落ち着くのか、という過程を眺めるのが本当に楽しい。秘蔵の飴を舐めるかのようににやにやしながら読みすすめ、岸本佐知子さんのエッセイが本当に好きだなと思いながら読み終えました。
こういったふとした思いつきのお話は、わざわざ人と語り合う機会に恵まれることは少ないし、日常のあれこれに紛れてその糸口を見失ってしまうことも少なくない。
でもこうやって、その糸口を逃さず手繰り寄せた先にどんな世界が広がっているのかというお話には文章という伝達方法が本当に適していると思うし、中でも岸本佐知子さんの、ほころびを見つけて辿る目はほんとうに楽しい。
大好きです。