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 小石

たとえば靴の中の小石のように、思い返すたびにのど元を邪魔する記憶があって、普段は避けて暮らしているのに、たまにふと甦ることがある。
取り出して白磁のすり鉢に放り入れ、ゆっくりと丁寧に、すりつぶす様子を想像する。ときおり指先でその感触が残っているか否かを確認し、ちくりとする欠片が残っていればまた、力をこめてすりこぎ棒を回す。
やがてそれに石だった形跡がなくなったのを確認できたら、風向きを確認して屋外で粉をはらう。少し茶色がかったその粉は、もしかするとすりこぎ棒の方が削れていたりして、なんて思ったりもするのだけど、ともかく
最後にすり鉢をひっくり返して底を数回たたき、水洗いしてからふきんで丁寧に、すり鉢の溝に粉が貯まらないように注意してぬぐう。ぬぐったふきんは洗って、日当りの良い庭先で干すこと。
なんて過程を逐一想像していると、しまいにはのど元の小石を忘れていたりするし、そういえば、大掃除が中掃除くらいでおわったまんまですけど、なんてことを思い出したりして、もちろん粉は散っただけで消えたわけではないのだけど、
解決しようのないことはとりあえず頭の中からはらう、その手際がよくなっていくことを時間が解決するとかいうんではないですかねとか思ったりしました。