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 「フラッシュバックメモリーズ3D」

見た movie

2009年、交通事故によって脳に損傷を受け、高次脳機能障害を発症したディジュリドゥ奏者、GOMAさんのドキュメンタリー映画。復帰後のライブ映像とともに、事故前と事故にあってからを描いている。説明的な部分はあまりないため、もっと知りたいという気持ちが残る映画ではあるものの、事故が起こってからの世界の描写などは、それまでを淡々と描いてきたからこそのインパクトがあって、見た後もずっと傍にあるような気がする感触として残りました。

記憶がなくなったらどうなるだろう、と想像したことは誰でもあると思うけれど、この映画で描かれるGOMAさんの状況のように、家族のことはわかるけれど、自分と彼らをつなぐ情報が失われて行くというような状況を、映画とはいえ目の当たりにすると、その心細さにぞっとして、「自分だけ取り残されているような」という言葉と映像の意味が交差した瞬間には思わず息をのんだ。映画の中にでてきた日記の言葉に「会話というのはほとんど記憶でなりたっている」という言葉があったけれど、確かに会話や関係性というのは、その背景にある時間をもとに成り立つものなのかもしれない。相手が自分の背景に見る時間と、自分が相手の背景に見る時間。
そのような中で、音楽については、体が覚えていてまた演奏できたという話はすごく興味深かったし、心強いことのように思いました。
リベット博士の研究で「意志決定が意識されるまでにはタイムラグがある」という発見があった、という記事をいくつか読んだことがあるのですが(読んだことはないのですがこちらに書かれているそうです→「マインド・タイム 脳と意識の時間」)、そのことを思い出しました。意識って体より言葉に近くて、言葉にするのには思った以上の脳の労力がかかってるってことなのかもしれない。
映画の後にはGOMAさん自身のお話もきけて、復帰後はライブ中に目をつぶるようになったのはなぜですか、という問いに対し、脳に負担をかけないようインプットを絞って音に集中するためと答えていたのも印象的でした。過去の映像と見比べると、手の振りが特徴的になっていて、あの指揮者のような仕草も、音にとけ込んでいるからこそなのかもしれないと思ったり。
それからGOMAさんが事故の後に突然描きはじめたという絵もとても魅力的だった。それまではまったく絵を描いていなかったという人があんなにすごい絵を描けるって不思議だ。

映画館の3D眼鏡があわず3D映画を眼鏡かけずに見てしまったので3D効果についてはよくわからず残念。
このインタビューもよかったです。

オフビートランナーズ#02 GOMA 生きるために走る
http://onyourmark.jp/2012/8/offbeatrun02/33448