AKB48@日産スタジアム/アイドル「宮澤佐江」について

6月8日に、日産スタジアムで行われたAKB48スーパーフェスティバル(ライブ&第5回選抜総選挙)へ行ってきました…!
AKBの選抜総選挙についてはいろんなところでいろんな評論が書かれていると思いますが、主にセンターの話だと思うので、第10位に選ばれた(私が応援している)宮澤佐江ちゃんのスピーチの背景について、ちょっと書いておきたいと思います。
暑苦しいし長いしこのブログに書く内容じゃない気もするんだけど、ここしか書くところもないので取り急ぎ。

宮澤佐江ちゃんは2006年4月、AKB48の2期生として活動を開始し、体育会系と評される「チームK」の中心メンバーとして活躍してきました。昨年発売された「ギンガムチェック」まではほぼ全てのシングル*1で選抜メンバーに選ばれている人気メンバーのひとりで、「ゲンキング」というキャッチフレーズにも現れているように、とにかく元気で明るく、先輩後輩の垣根なく様々なメンバーと仲の良い、グループの中の潤滑油のような存在だと思います。
そのことは、昨年の9月に行われた東京ドームライブにおいて、(AKB48恒例のサプライズとして)彼女の海外グループ(SNH48)への移籍が発表された際に、ファンだけでなく多くのメンバーがショックを受けていたことにも現れていると思います。そのときの様子は今年公開された第三弾のドキュメンタリー映画でも少し触れられていました。

AKB48@東京ドーム/アイドルという物語
http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20120911/p2

しかしその後の半年間で、佐江ちゃんが上海に行けたのはわずか2回(+台湾でのSNH48としての活動が1回)きりでした。その理由は当初昨年中にできるという話だったのに未だにSNH48劇場が完成していないということと、芸能活動をするためのビザがおりないために日本人である彼女達はステージでパフォーマンスができないこと、主にこの2点にあると言われています。
先月に上海にて行われたSNH48の公演「Blooming for You」では、舞台に登場することはできたものの挨拶をするにとどめられ、パフォーマンスをすることができませんでした。

左:SNHメンバーとの練習風景/右:お披露目公演を観客席から見守る宮澤佐江鈴木まりや

もどかしい状況は日本でも同じでした。上海には行けていないものの、SNH48所属メンバーとなった彼女には劇場公演や握手会の予定もなくなり、「AKB48」のTV出演やライブにメインのメンバーとして出演することもほぼできなくなっていました。選抜として選ばれていたシングル曲でも、そのポジションは他の子が踊っている。それがSNH48移籍によるものなのか、世代交代させたいという運営側の意図なのかはわかりませんが、その宙ぶらりんな境遇にファンのフラストレーションもたまっていた4月の武道館ライブ最終日、ついに再びサプライズという形で、SNH48AKB48チームKとの兼任制が発表されたのでした。
その発表を受けた際の佐江ちゃんの表情に笑顔はありませんでした。悔しい、に近かったと思います。ファンもその表情を見た後では喜ぶのも違うような気がして、けれどやっぱり身近で見られるということは嬉しいし、という複雑な気持ちでいたと思います。

ファンの間でこのタイミングの兼任が喜ばれた理由はもう1つありました。同じ2期生としてチームKを支えてきた元キャプテン、秋元才加の卒業が決まっていることです。長身でシンメトリーな立ち位置でパフォーマンスをすることが多いせいか2人は「ツインタワー」と呼ばれ、男性だけでなく女性のファンもとても多いことで知られていました。自分を含め、秋元才加の卒業まで2人が再び同じチームKとしての時間を過ごせるということに期待をしていたファンは多いと思います。

宮澤佐江ちゃんの兼任が発表された日、複雑な表情を浮かべる彼女の代わりに、喜びをいっぱいに表現していたのがその秋元才加と、同じチームKメンバーであり彼女ととても仲の良い大島優子でした。

兼任発表後、笑顔で手を振る宮澤佐江と涙の秋元才加

その日の佐江ちゃんのブログにはこう綴られていました。

今日の発表より、わたくし宮澤佐江SNH48と兼任で、AKB48チームKに戻ることになりました。
今の気持ちは正直複雑です。
またファンの皆さんに会える機会が増えること、パフォーマンスを披露できる場所が増えること、、、嬉しいことはたくさんあります。
でも、それを素直に喜んでいいのかわからなくて。。。
そしてSNH48としてやっていく!と決めたのに、自分なにもできてないじゃん。という悔しさもあって、気持ちがぐちゃぐちゃしています。
http://ameblo.jp/miyazawafamily/entry-11520289130.html


それからひと月ほど経って、兼任に前向きな発言も増えてきた先月。先述の上海でのSNH公演「Blooming for You」がありました。
SNH48宮澤佐江が最も愛着を持っていると何度も語っているチームK4th「最終ベルが鳴る」公演を劇場(未完成)にて披露する予定で昨年から練習をしています。しかし、そのパフォーマンスレベルは5月の時点でも、残念ながら彼女自身の言葉でいえば「まだまだ」というものでした。

そして6月8日の総選挙で第10位に選ばれた宮澤佐江ちゃんはこうスピーチしました

AKBは次世代と言われていますが、48グループに一番必要な、一生懸命になること、パフォーマンスすることは後輩にまだ負けていないと思っています。突然の発表になってしまいますが、先日の武道館で、AKB48との兼任を発表しましたが、私はこれからSNH48一本でいきたいと思います。彼女たちの可能性はまだ全然見えないけど、自分もいつになったら彼女たちとステージに上がれるかわからないけど、でも私はかっこ悪い姿を見せたくないので、SNH48一本に力を入れていきたいと思います。(要約抜粋)
http://mdpr.jp/news/detail/1250913

個人的な憶測ではありますが、彼女にSNH48一本を選ばせたのはこのパフォーマンスへのプライドもあったのではないかと思っています。SNH48が自分のチームであると感じているからこそ、大切な「最終ベルが鳴る」公演にプライドをもっていたからこそ、「まだまだ」に納得出来なかったのではないでしょうか。チームKが大切だからこそ、自分に納得できるまで戻れないと思ったのではないでしょうか。
ファンとして、寂しくないといったら嘘になります。SNH48劇場はまだできていません。つまりパフォーマンスを見れるのは当分先だと思われるからです。それだけでなくビザの問題、言語の問題、運営の問題など、ただのファンから見ても、今SNH48を選ぶのは茨の道と言わざるを得ません。アイドルとして、けして得な選択ではないはずです。
でもその困難に立ち向かう決意の表情を見ていて、自分はこの子のファンになってよかったなと改めて思いました。

佐江ちゃんは、初めからそのような大胆な決意をするタイプの子だったわけではありません。私が佐江ちゃんのファンになったのは2010年末のことですが、その当時でも、どちらかというと「自分にあまり自信がない」というような発言をよくする子でした。
しかし昨年の総選挙で11位という順位に選ばれた彼女は「自信をもてた」と繰り返し語るようになります。その自信は、昨年8月、SNH48への移籍を受け入れる決意をすることにも繋がるものでした。
さらに今年の1月、SNH48移籍でもどかしい状況にある中、リクエストアワー(48G内の楽曲人気投票)で彼女のセンター曲が2位に選ばれたことは、彼女の「決意」にファンから応えたような形になりました。
順位付けにいろんな問題があるのは承知の上で、そのような変化が見れるというだけで、私は「順位」の価値はあるのではないかと思っています。

正直なところ、私はこんな眩しい素直さとか真っ直ぐさのようなものはずっと苦手でした。でもやっぱり舞台上で真っ先に目が行くのは佐江ちゃんだし、笑顔を見たら嬉しくなる。ファンになるのに明確な理由なんてないんだなと思います。
恋愛禁止とか選抜総選挙の仕組みとか、グレーな部分も多いし腹のたつことも多い48Gですが、
いろんな子がアイドルとして、それぞれに物語があるのは確かなことだと思うし、アイドルというのはその物語を背負う存在なんだと思う。それは今回センターに選ばれた子についても同じでしょう。
そしてアイドル「宮澤佐江」の物語はまだ始まったばかり。
前途多難な道をどう乗り越えていくのか、これからの活躍をとても楽しみにしています。
だからどうか、いろいろなことが、うまくいきますように。

日産スタジアムにて

最後に総選挙後のブログより。

先日の武道館コンサートで、SNH48AKB48チームKとの兼任が発表されてから一ヶ月。
ふとした時に笑顔を忘れてしまうくらい本当にたくさんたくさんいろいろな事を考えました。
(略)
総選挙の前のコンサートが始まる直前に、SNHのメンバーに会う事になり彼女達のところへ向かいました。
彼女達の顔を近くで見たら、突然涙が出てきました。
私はこのコ達と一緒にSNH48を作っていきたい、盛り上げていきたい、またそういう思いをもつことができました。
(略)
これから事務所の方ともお話しをしていくところですが、私は上海でやりたいことを見つけました。
もしかしたらそれは自己満足な発想なのかもしれないけれど、私はそれを達成できたら、しっかりとSNH48を卒業し、AKB48へ戻ってきたいと今は考えています。
http://ameblo.jp/miyazawafamily/entry-11549482887.html

*1:じゃんけん大会によって選抜が決まったシングル以外