「セレステ∞ジェシー」

監督:リー・トランド・クリーガー
息のあった会話をしているようで、何かが不自然なカップルは、実は離婚していた元夫婦で…ということがわかるまでの流れるような冒頭シーンが秀逸。
トレンド予測家(プロデュース業みたいな感じなのかな)として活躍するセレステは、かつての夫であったジェシーは「父親」としては役不足だと考えている。駆け出しイラストレーターのジェシーは、仕事に精力的というわけでもなく、別れた後もセレステの家の離れに住み着いているし…たしかに頼りないように見える。
しかし2人は離婚後もお互いを大切にしているし、親友であることは変わらない、と、かつての同級生カップルに宣言してあきれられたりもする。

確かにそんな関係は一見すてきにも思えるけど、ひと皮むけば一時停止なんですよね。そして、そんな関係が長続きするわけもなく、うっすらとあった力関係が、逆転したところで思い切り取り乱すセレステの様子にはほんとうに身につまされました。
過去の自分の取り乱した末の諸々が走馬灯のように蘇ってきてねえ…。失恋するたびに、なんでこんなオール・オア・ナッシングなことをやってんだろうな…と思ったりしたけど、とことん自分のみっともなさに向き合うと、なんだかスッキリしたりもするもので、とか
見ながら自分のことをあれこれ思い返したけど、自分はセレステには全く似てないし、だからセレステをみて感情移入する、というのとは少し違うんだけど、表情豊かなセレステを見ながら、彼女がはやく元気になりますように、と願ってしまう映画でした。
とはいえセレステを見てると自分の嫌なところもたくさん思い出した。ただ、人ってそんなに簡単にかわれないし、別に変わることをメインに据えてない*1のも良かったな。

いくつかの感想で「(500)日のサマー」に似てるという意見を見ましたが、自分もまっさきに思い浮かんだのは「(500)日のサマー」と「ステイ・フレンズ」だった。でも、サマーはどちらかというと出会った瞬間のウキウキが印象に残る映画だったけど、セレステの場合は、その後に重心があるっていうのが違うかな。
そしてどっちの映画も最後に次が見えてるとこが、そういうもののかなー? って思ってしまうんだけど、その辺は先に見ていた友人にあった時に意見を聞くのが楽しみです。
とにかくセレステ役で主演・脚本をつとめるラシダ・ジョーンズがほんと素敵だったな。それからセレステの仕事の相方役をやっているイライジャ・ウッドがまたよくってね…。自分のみっともなさを受け止めてくれる人を大事にしよう…、と改めて思ったりしました。

*1:でもヤング≠アダルトのあれとは違う