人生は続く/「放浪息子」の完結について

2003年に出た1巻から10年。ついに「放浪息子」の完結巻が発売されました。

放浪息子 15 (BEAM COMIX)

放浪息子 15 (BEAM COMIX)

表紙を見ると、おおきくなったニトリくんと高槻くんがいて、10年分、彼らの成長を見てきたんだなあって感慨深い気持ちになる。正直、物語の進みが行ったり来たりしているように感じたところもあったし、この物語がどう決着つくのか全く想像できてなかった。ただ、いろんな物語を読むときに、この子は千葉さんに似てるとか高槻くんに似てるとか、まるでいつかのクラスメイトや近所の子みたいに思うことが増えていって、
だからこの最終巻を読んで、彼らの成長の延長線上に、物語が幕を閉じたこをとても嬉しく思いました。
私は1巻を読んだときの感想に、「与えられる性別について、戸惑いためらう少年少女を平等に、抱きしめるような物語だと思う」(id:ichinics:20070128:p1)と書いた。確かに作者の視線はそのようなものだと今も感じているけれど、
物語は最後、彼ら自身が自らを抱きしめる決意をすることで終わったのだと思う。与えられる性別のお話ではなくて、自らの個性を肯定するということ。性別というのも「個性」のひとつなんだなと改めて思ったのでした。
特に心配だったマコちゃんのp150のシーンとか何回見ても泣いてしまう。
連載は終わったけれど、この先も彼らの物語は続いていくのだろうし、それを想像していきたいなと思う完結巻でした。読み続けていて、良かった。