小石

早いもので新年があけてもうひと月もたった。このひと月は、特にこれといって何もなかったともいえるし、大事件があったともいえる。気持ちの水はけがどんどんよくなって、最近はそれがどんな形をしていたのかよくわからなくなる。できるだけ穏やかに、平らかに保つというのはとても心地がいい反面、慣れてしまうとなかなか、動かすのも億劫になるので、
たまには引きあげて久しぶりに風にあて、転がしながらよく乾燥させて磨いて少々の愛着がわいた頃、再び何もない空間に思い切り投げ入れるときの、心もとなさと少しの期待みたいなものを確認しておきたいなと思う。
それをまたどこかで拾い上げたら、しばらく眺めた後、水槽にでも沈め、苔が生えたらそれを小魚がついばむ様子を眺めたりして、それが何だったか忘れた頃にいつかまた引き出して洗い、転がしながらよく乾燥させながら居眠りをするのだと思う。