クラリッサ

1、2月の締切やら楽しみにしていた予定やらがあらかた終わってしまい、気が緩んだのかそれとも花粉のせいか、今週はやたらとだるい月はじめだった。年明けから読みはじめた文庫本もまだ読み終わらない。かといって面白くないわけではなく、むしろこの2か月はずっとその視線の中にいるような気がしている。感想は改めて書くつもりだけど(といってちゃんと書きたいリストは伸びて行くばかりなのだけど)「めぐりあう時間たち」の小説を読んで*1、映画*2を見て、いつかはと思っていた本なので、どうしてもその登場人物たちがこの物語に対して抱いていた思いを通して読むことになり、二十三重にフィルターがかかっているような気持ち。
本を読むのは、家の中よりも外が多いのは、本を閉じてそこに書かれていたことを思い起こしながら帰るのが好きだからだと思う。でもこの数年、駅からの帰り道はいつも自転車なので、その楽しみも半減している。自転車は便利だけどあまり考え事にむかない。考えるのスピードにはやはり歩く早さくらいがちょうどよくて、だからもっと歩かないといけない、と大雪が続いて必然的に自転車に乗れなかった期間に思った。
雪の日の夜、人も車もいない道の真ん中を歩くのはとても楽しかった。舞台(「国民の映画」)を見た帰り道だったので、その中の登場人物1人ずつについて、あの人はどういう人なのだろう、ということをじっくり考えることができた。その舞台の上でも外は雪で、照明が落ちる前から遠くで、吹雪の音が聞こえていた。音が近づき、照明が消えると同時に舞台が始まる。それは眠りに落ちる感覚とよく似ているように思った。

ダロウェイ夫人 (集英社文庫)

ダロウェイ夫人 (集英社文庫)