最近読んだ漫画

「小僧の寿し」/勝田文

いつも新刊を楽しみにしている勝田文さんの、たぶん食べ物をテーマにした短編集。最後に収録されているクリスマスキャロル以外はすべて現代のお話ですが、どのお話も勝田さんらしい画面構成で読んでるだけで楽しい。
もちろん漫画なんだけど、たとえば「ととせの鴨」のラストページとかなんでこんな絵に仕上げることを思いつくんだろうなって思います。
特によかったのは、誰もが知ってるスクルージのお話「クリスマスキャロル」。よく知ってる話ではあるんだけども、どこにもいやみがなくてあったかいお話になるのが勝田文さんならではだなーと思いました。

小僧の寿し (マーガレットコミックス)

小僧の寿し (マーガレットコミックス)

「もう体脂肪率なんて知らない」/三好銀

三好銀さんの漫画はいつ読んでも不思議だし、あらすじを説明するのは難しいのだけど、でも読後感が好きで、新刊がでるとつい買ってしまう作家さんのひとりです。
その読後感というのも個人的な感覚なので説明しづらいのだけど、いつも空気が乾いてて適温の町にいる、輪郭があいまいな人のお話というイメージで、毎日見ている景色の少し向こうに、そんな町がきっとあるのだと信じられるところが好きなのだと思う。
自分の中では、佐々木マキさんの絵が挿絵にあった頃の村上春樹さんの短編小説と近い気持ちで読んでいます。

「ラブホルモン」/坂井恵理

「ビューティフルピープル・パーフェクトワールド」の作者の初単行本の復刊ということで買って読んだ。恋愛感情を人工的に引き起こす薬「ラブホルモン」のある世界というSFで、現代の中にSF要素を盛り込む作風は「ビューティフル〜」と通じているかな。ラフホルモンをモチーフに、本当の愛とは何かということがテーマになっているんだけど、それを明確に定義しないで終わるところは作者の誠実さなのかもなと思う。
ただ、ラブホルモンの効き方のあいまいさの設定(飲んだからといって確実に相手に恋愛感情がおきる訳ではないとか)がちょっとミステリー要素的に気になってしまって、そっちを掘り下げるのかと思ったらそうではなかった。