「LIFE!」


監督:ベン・スティラー
実在した雑誌「LIFE」誌で働く妄想癖のある主人公が、現実の冒険へ旅立つことになるお話。予告を見て、なんとなく「書を捨てよ町へ出よう」というようなお話なのかなと考えていたのですが、予想はすっかり裏切られました。
時間経過など細かな点に矛盾は多々あるお話なのだけど、そこはファンタジーということでいいのだと思う。現実では思っていることをなかなか口に出せずにいるのに、妄想の世界では自在に振舞う主人公のキャラクターには親しみもあるし、だんだんと妄想の時間が現実の冒険に置き換わっていくとともに、自信にあふれた表情になっていくのも説得力があった。
個人的には主人公の妄想はとても魅力的に感じられたので、それを単純に逃避とは捉えたくないなと思いながら見ていたのだけど、
たぶんカメラマンのショーンが語る「美しいものはわざわざ主張しない」(記憶なので言葉遣いは曖昧ですが)という言葉の通り、あの冒険は主人公自信が自らの価値を発見するためのものだったのだと思う。

作品中に繰り返し出てくる「世界を見よう」からはじまる「LIFE」誌の社訓がとても印象的だったのだけど、海外のWikipedia*1を見てもこのスローガンについては触れられていないということは、原作(ジェームズ・サーバー『虹をつかむ男』)オリジナルのものなのかな。