「RAPID COMMUTER UNDERGROUND」/座二郎

RAPID COMMUTER UNDERGROUND (ビッグコミックススペシャル)

RAPID COMMUTER UNDERGROUND (ビッグコミックススペシャル)

大学1・2年生の頃は、2時間電車に乗って大学に通っていました。新宿から西武新宿線に乗り換えると、あとはもう大学の最寄り駅まで乗り換えはない。通勤ラッシュと逆の方向を向いて走るがらんとした黄色い電車は、私にとってはもうひとつの自分の部屋のような空間でした。その電車の中でわたしはいったい何冊の本を読んだだろう。週誌も5?6誌は購読していて、それをしっかり読み切れていたのも西武新宿戦という「書斎」のおかげだったと思います。著者が通勤電車の中で描いたというこの『RAPID COMMUTER UNDERGROUND』を読んでまず思い出したのはそんなことでした。電車が書斎であるということ。そのことにまずわくわくしました。
そして電車のなかでみる夢のような物語も最高&最高に楽しかった。目の端をすべる景色がスイッチになって私にもこのような世界を見る事ができるんじゃないかと思ってしまう。特に魅力的だったのは電車の中にあるBARと回転寿司と駅にある文房具屋さん。絵の中にはいって奥の奥まで見てみたくなりました。

それから、私が好きな車窓の風景といえば、お茶の水秋葉原の間に見える「丸ノ内線が地上に出るところ」なのですが、その場所が作品中に出て来たのも嬉しかったです。(丸ノ内線が地上に出るのは四ッ谷にもあって、登場人物が「好き」だと言っているのはどちらだったか定かではないけど)

一人で電車に乗っているときの、いろんな出来事がひとつの箱の中で同時進行している感じ、その隙間にこんな風景を見ている人がいるんだっていうことがすごく楽しくて嬉しかった。大好きな1冊になりました。
あと絵が最高に好きなのでポスター欲しいです。