恋はデジャ・ヴ

恋はデジャ・ブ [DVD]

恋はデジャ・ブ [DVD]

イムループものとしてよく名前があがっていて見たいと思っていたのですが、最寄りのレンタル屋さんにもなくDVDも廃盤のようで高いし…と諦めかけていたところに、深夜テレビでやるということを聞いて録画して見ました。
これがほんとすごくいい映画、かつものすごく私の好みで、テレビ版なのでフルで見れていないところを若干割り引いたとしても人生ベスト10に入れたいと思う映画でした。
ストーリーはとてもシンプル。お天気キャスターの主人公が、春の訪れを占うお祭りを取材しにある田舎町を訪れ、なぜかその1日を繰り返すタイムループに陥ってしまうという物語です。
ビル・マーレイ演じる主人公のフィルは他人を見下したところのあるいけすかない奴で、自分がループに陥ったと悟ってからは、とりあえず女性を騙したり、お金を奪ったり、思いを寄せていた女性とどうにかいい仲になろうとあれこれ画策したりします。でもこのループは終わらない。どうやったらループが終わるかの手がかりもなく、やがて主人公は自殺を繰り返したりもします。
「終わらない」って本当にこわい。例え同じ1日を繰り返すのでなくても、この自分が終わらないと考えるだけでぞっとします。さらに、ループするというのは「終わらない」のと同時に、関わった相手の記憶にも残らないということでもあるんですよね。
そして、ループを抜け出すのには自殺も有効ではなかった。そのことを知った主人公はどうするか…、というところがこの映画のメインテーマだと思うのですが、深い絶望と諦念の先を描くのに、このような可能性を提示するのは個人的にはとても腑に落ちましたし、詳しい数は作品中で触れられていませんがおそらく数千回はしているであろうループを越えて、主人公がどう変わって行くか、という描写には説得力がありました。
同じような日を繰り返しているような感覚というのは、いつかはやってくるものなのかもしれないけれど、その1日をどう使うかというのは本人次第でどうとでもなるんだなと勇気づけてくれるような物語だったと思います。
そういう点では、同じくビル・マーレイが主人公を演じる「3人のゴースト」の元ネタでもある「クリスマス・キャロル」とすごく近いお話のようにも感じました。
今のところは録画を保護してるけど、繰り返しみれるように、いつかソフトを手に入れたいです!