チャッピー

監督:ニール・ブロムカンプ

日本版ではカットされたシーンがある、という騒動があったことで、自分が感想を楽しみに読んでいるような人が見に行っていなかったりするのが寂しい「チャッピー」ですが、人工知能は好きなテーマなので公開してわりとすぐ見に行きました。そして面白かったです。
第9地区*1とおなじく、出て来る登場人物の誰にも感情移入できないなーと思いながら見ていて、特にチャッピーの生みの親であるディオン(メイカーって呼ばれてる)が、無邪気に傲慢だったりするのは、物語が見ている側の思ってる方向に簡単には進まないことのあらわれのようで興味深くもありました。
例えば、自分の生み出した人工知能がギャングに影響されてぐれてっちゃったらショックだよねーって思うんだけど、メイカーは意外と気にしません。探究心にのみ突き動かされている感じなのはなんとなく監督のスタンスに近いのかなとも思いました。
私が特に気に入ったのはラストシーン。いろいろあって、彼らは「自己」をデータ化することに成功し、機械の体を手に入れるわけですけども、あの「体」のどうでもよさは新鮮だった。あの状態だとオリジナルを産む事は出来ないわけですが、その後データを複製して「元自分」を大量に作る事は可能なわけですよね。そうやってあのラストの数年後には、世界は元チャッピーたちに征服されてしまうのではとも思いました(でもあのメンバーだとそんなこと考えそうもないか)。
「オリジナルデータ」のかけがえのなさと、データ化された自分の軽さのコントラストが何か面白かったので、監督が次にどういう物語を作ろうとしているのか気になります。