「さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ」を読みました

読んでみると、レズ風俗、という部分よりも「さびしすぎて」の方に重心があって、とにかくさびしい、って気持ちがあったり、親との関係に悩んだり、自分で自分を大切にするやり方がよくわからない…という気持ちを抱いたことのある人にはぜひ読んでみて欲しいと思う漫画でした。

単行本は発売してすぐに読んだのですが、なかなか感想がまとまらずにいました。
自分ひとりではどうにもならないさびしさ、スキンシップを求める気持ちがあって「そうだ風俗に行こう!」って選択肢が(女性にも)あるんだ、というのは目から鱗だったし、素直にそれいいな、って思ったのは自分でも新鮮だった。
反面、感想がうまくまとまらなかったのは、自分はたぶん親とのスキンシップが苦手かもな〜ということに読んでて気付いてしまったからでした。4人姉弟妹の長女なので親に甘えないをよしとされて育った時期が長いからかな…。自分でもなんでかよくわからないし、親以外はそんなこともないんだけど、でもたぶん自分が「さびしい」と感じるのは、スキンシップの足りなさよりはむしろ、他愛もない話をする相手がいないことのような気がする。
しんどいことが続いた頃は、よく帰り道に歩きながら電話をできる相手が欲しい、ということを考えていました。
何というか、迷惑かもしれない、ということを考えないですむ相手が欲しかったんだと思います。
でもそういうのはある程度、日記やTwitterで埋められることなんですよね。もちろん人によるとは思いますし、今現在あの頃のようなしんどさを抱えてないからそう思うのかもしれません。
ただ、その「迷惑かもしれない」というハードルを、プロに委ねることで越えるという選択肢はほんとに良い案だと感じました。
そんな風に自分のさびしさについてあれこれ考えてしまうような読書だったし、こんな風に自分の思ってることを分析して漫画にできるってすごいなと思いました。

泣きそうになったのは就職面接で「やりたいのは漫画」という言葉を応援してもらうところ。
自分も昔、転職活動中の面接でぽろっと本音みたいなものが出てしまい、人に話してみてはじめてわかることってあるなーと感じたことがあったのですが、
そういう、なにかがはがれた瞬間に背中を押してもらえるというのはとても心強いことだろうなと思います。できれば自分もそういう時、とっさに背中を押せる人になりたい

あと、行くって決めてから「自分をきれいにしなければ!」って世界が広くなっていく様子は読んでいてわくわくした。
ここはアイドルの推しに会いに通っていた頃、服を考えたりするのが本当に楽しかったことに通じるような気がしました。

この本は、“レズ風俗”に行ってみてそれで全てが解決!というお話ではありません。
ただ、自分の「さびしさ」と真摯に向き合う過程のお話にはとても勇気付けられたし、確実に新しい場所へ足を踏み出したということがこの本をもって証明されているように感じるところにぐっときました。
次の作品もとても楽しみにしています。
こちらの連載も楽しみ。
comic.pixiv.net

ちなみにpixiv版も掲載時に話題になっていたのをTLで知って読んだのですが、かなり加筆修正してあるし、2色刷りもきれいだし、なのでどちらかしか読んでない方もぜひ両方読んでみて欲しいなと思いました。とにかく構図がうまくて、印象的なコマがたくさんある。