昨年末に、2019年に新刊が発売されるという告知*1があった「十二国記」シリーズを私は読んだことがなかったのだけれど、告知の後のTLの様子を見ていて羨ましくなったため、とりあえず刊行順で「魔性の子」から「東の海神」までを購入して読み始めた。
それが暮れのことで、「魔性の子」を読み終えてすぐ、できたばかりのアップリンク吉祥寺で「牯嶺街少年殺人事件」を見た。
どちらも、「特別」な存在と接することで、自分も「特別」なのだと思っていた主人公が、自分はその世界には行けないことを知る物語という点で、重なるところがあるような気がした。
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正月に実家に帰省する際には「月の影 影の海」を持って行ったのだけれど、暇であっという間に読み終えてしまいもう1冊持って来ればよかった、と思ったところから止まらなくなり、1月の6日には「東の海神 西の滄海」にたどり着いていた。つまりだいたい1日1冊のペースである。本を読むのが遅い方な自分にとってはあまりないペースだった。
続きを注文して、届くまでの間には「風が強く吹いている」を読んだ。
「風が強く吹いている」は現在放送中のアニメ版がとても面白かったためようやく手に取ったのだけれど、読み始めた瞬間に、なぜもっと早く読まなかったんだろうと思うほど好きな小説だった。
「その瞬間、清瀬は悟った。もしもこの世に、幸福や美や善なるものがあるとしたら。俺にとってそれは、この男の形をしているのだ。」
冒頭も冒頭の場面だが、この一文を読んだ時に確実に好きだと思ったし、実際とても面白かった。
アニメ版と異なる点も多々あるのだけれど、原作を読んで改めて、アニメはアニメで2クールで展開するための、適切な補足がされていると感じた。調べてみれば脚本の喜安浩平さんは「桐島、部活やめるってよ」や「幕が上がる」の脚本を手がけていた方で、今後この方の作品にも注目していこう、と心に決めた。
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その後「風の万里 黎明の空」から「丕緒の鳥」までは本当にあっという間だった。感想をTwitterに書きながら読んでいたのだけれど、「図南の翼」で「利広は麒麟なのでは?」「でも血が嫌いなはずだからもしかして敵なのか?」なんて的外れなことを書いていたのに突っ込まないでいてくれた方々は本当に優しいと思う。
1月なのでいくつか新年会もあり、そのたびに「十二国記」の面白さについてひとしきり話さないと気が済まない状態になっており、そんな私の話を聞いてくれた友人たちもまた優しいと思う。
正月休みは何をしていたか、という話題で友人が「一般参賀に行った」と話し出した際、そこから陽子が赤楽と元号を定めたことへのエモさを語る流れにもってったのは、我ながらちょっと無理やりだったなと反省している。
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十二国記は、架空の国の物語でありながら時折、鮮明にその世界が見えるような気がしてしまう物語だった。作者には一体どこまでが見えているのだろうと何度でも感動するし、その目を借りてもっといろんな話を聞かせてほしい、と思う。
自分が海客として十二国記の世界に行くとしたら、と想像してみたりもするけれど、その度に「魔性の子」に描かれた「行けない人」の視点を思い出してしまうという構図も、とても気に入った。
なんにせよ、新刊が出るというこのタイミングに間に合うことができたのは本当に幸せなことだ。
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そんなわけで2019年の1月は自分比でかなり多くの本を読むことができた。
この調子で、今年はたくさん本を読む年にしたいな、と思う。特にまだ読んでいなかった「名作」に手を出していきたいと思っている。
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