WERQ THE WORLD ドキュメンタリーを見ました

今回はWOW Presents Plusで配信されている、WERQ THE WORLDツアードキュメンタリーの感想を書きたいと思います。
「WERQ THE WORLD」とは、VOSSイベントがプロデュースしている、RPDR(ル・ポールのドラァグレース)クィーンをフィーチャーしたワールドツアーのこと。日本語の情報が少ないため、まだよく知らない部分もあるのですが、ウィキペディアによると、2017年にスタートしたイベントのようです。世界各地で公演が行われていることからも、今やRPDRの人気が世界規模であることがよくわかります。

WOW Presents Plusで配信されているのはこのツアーのバックステージドキュメンタリー(アイドルファンが大好きなやつです)。
しかもツアー参加メンバーの1人1人(+スタッフ回もあり!)をフューチャーした作りになっているのが最高。

全部感想を書きたいくらい良かったのですが、日本語字幕がないため私の英語力で理解できる範囲は限られていることもあり、まずは推しであるアリッサの回のみ感想を書きたいと思います。

WERQ THE WORLD

worldofwonder.vhx.tv

このドキュメンタリーはおそらく2018年後半のもので、S10の優勝者がきまったばかりのタイミング。公演によって数人の出演者が入れ替わっているようでした。アリッサはその中の2つの公演(バルセロナマドリード)に出ており、これの出発前後のことは、Netflixで配信されている「ダンシングドラァグクィーン」*1でもちらっと見ることができます。

番組の構成は、クィーンたちのインタビューとバックステージでの様子や、meeting&greet(ファンとの写真撮影など)、ショーの様子などで構成されています。
ドラァグレースで見るのとはまた違う、クィーンたちの個性がよくわかる場面がたくさんあってとても楽しい。
おそらくこのツアーのホスト役で、いつも陽気な盛り上げ役のシャンジェラ。メンバーの母親のようなラトリス。真面目な長女的ポジションのデトックスケネディは実はどこでも眠れる特技があるなんてこともわかる。
ヴァレンティーナやヴァイオレットは末っ子らしい奔放さでバックステージでも元気。常に落ち着いていながら、気の利いたセリフで人々を笑わせるキム・チー。シャロンとアクアリアという偉大なドラァグ母娘のやりとりが見れたのも貴重でした。
よくクィーンたちの話題に上っていたのが、meeting&greet(ショーの前に行われるファンミ)に遅刻するかどうかということ。
ラトリス曰く「TeamStayReady(遅刻しない組)は私(ラトリス)、ケネディデトックス、キム・チー、シャロン。The slackers(遅刻する組)はヴァレンティーナとヴァイオレットとシャンジェラ。ここにアリッサがいたら恐ろしいわよ。時間の感覚がまっったくないから」とのことで(お疲れ様です)、まあ実際その通りであることがわかるのも面白いです笑
中にはあまりにも遅いのでミーグリ無しにされたヴァレンティーナとヴァイオレットがスタッフに直談判に行く場面もあったりする。
つまり、遅刻する組は決してミーグリをしたくないわけではなくとにかく準備が遅いんだと思います……。とはいえ、お互いの悪いところを指摘しつつも、お互いへのリスペクトを忘れないクィーンたちのやりとりは見てて気持ちが良い。

アリッサ・エドワーズ回について


ウィッグを梳かすアリッサ

アリッサがツアーに合流した時のことについて、シャンジェラ(アリッサのドラァグドーターでもある)はこう話していました。

私のドラァグマザーは、ここに来るなり「ミス・シャンジー、何をすればいい?」って言いだしたの。オーマイ……笑 そんで私は言ったわけ。「とにかくやるしかないのよママ。ファンのためにね。やるしかないの!」ってね。

……と、そんな具合に、おそらくあまりスケジュールも把握できていない状態で参加したと思われるアリッサなので、爪を塗っていたら(もしくは付け爪をつけていたら)、周りに誰もいなくなってしまい「シャンジー?」「ケニー?」とおろおろ探し始める場面などもありました。
「Oh, Lord, child, Jesus save me.God save the Queen.(主よ、子よ、イエスよ、私を守って。女王陛下万歳)」
なんて呟きながら短い階段を降りていくアリッサ……。そしてそのまま何事もなかった顔をしてリハに合流している場面は笑ってしまいました。

しかし周囲を伺っていたのもつかの間、すぐに持ち前のサービス精神を発揮し、カメラに向かって延々としゃべり始めます。

シャワーが故障したとなれば、一緒に浴びるだのそんなのごめんだの言い合い、スタッフが来たら「インタビューさせてください、これはお湯の節約ですか?」なんて中継の真似を始める。
かと思えば「疲れた時はこうやってハンニバルレクターになるの」とおもむろにパックを始め、「これ誰の?」って聞きながら、ためらいなく誰かのプリングルスを食べ始める。
とにかく自由なアリッサです。

しかしそんなアリッサに輪をかけて自由なのがヴァレンティーナ。

アリッサ「ねえ、WTWのどんなとこが好き?」
ヴァレンティーナ「私のパンストの匂いを嗅ぎたい? これずっと使ってるの。幾つの街で使ったかわからないくらい。ねえ嗅ぎたい?」
アリッサ「……私はあなたの友達であってファンじゃないんだから、あなたのパンスト、もとい下着の匂いなんて嗅ぎたくないわ」
ヴァレンティーナ「でもこれぞドラァグの匂いじゃない?」
アリッサ「私のはシャネルのNo.5なんで✋」
ヴァレンティーナ「このビッチ!✊」

なんてやりとりがそこら中で行われていてファンにはたまらないバクステ映像が目白押しです…。

こちらのツイートで、自撮りをしながら1人でしゃべり続けてるシーンが見れます。

クィーンたちが語るアリッサ

他のクィーンのアリッサに対するコメントが色々聞けたのも面白かった。いくつか抜粋してみますが英語字幕を自分なりに訳してみたやつなので、間違いもあるかと思います(ラトリスのは難しかったので英語のままです)。

「Alyssa's secretや彼女のドラァグレースにおけるキャラクターが作られたものであったり、強制されたものであると思ってるなら、それは間違いよ。彼女はハイヒールを履いたコカインなの」

  • キム・チー

「アリッサはこの宇宙の出身じゃないわ笑 彼女はクレイジーで、彼女はセレブなの。彼女がディーヴァであるようにね。もちろん、ディーヴァというのは悪い意味じゃないわ。彼女については語りつくせない」

  • ラトリス

「Oh, there's gonna be a good time with Alyssa when she's here, honey, because we go through the shenanigans, honey, and we gotta go through rigor morits.
She is fine, and she can stay ready as well. And she don't give a shit.
She gonna be ready when she get ready.
But she also delivers. The fans love her. Her personality is beyond beyond.」

  • ヴァイオレット

「ミス・重要人物。アリッサ・エドワーズ。何から話せばいいやら笑 彼女はだいたいにおいて、すごい壮大な方法で突き進んでる」

「彼女は尊敬すべきロールモデルで、周りに偉大なエネルギーをもたらし、私をいつもサポートしてくれるわ。彼女はいつも私に素晴らしいアドバイスをくれるの。彼女はいつも私を信じて"あなたはスターよ。そのまま行きなさい。あなたはすごいのよ"って言ってくれる」

プロのパフォーマーとしてのアリッサ

バックステージでは愉快ですが、パフォーマーとしてのアリッサはやはり真面目だし、プロフェッショナルです。
スタッフのインタビューではこう語られていました。

RAY PIERCE氏(ステージマネジャー)
「アリッサは彼女がしていることについて、驚くほど芸術的な意図を持っています。
彼女が劇場に入ってきて最初に提案したのは「どこから登場したら観客がグッとくるパフォーマンスになるか」ということでした。
そして彼女は誰も気づかなかった「バルコニーから客席を通り抜けて登場する方法」を見つけたんです。
それはただのパフォーマンスではなく、彼女は観客との接触をできるだけ多くすることで、彼らと繋がろうとしていたんです。彼女のパフォーマンスを見れば、それが成功していることがわかるでしょう」

そしてステージの映像が流れるわけですが、それを見れば観客たちにとって、それが特別な一夜になったであろうことがよくわかる。

バックステージに駆け込んできたアリッサが「最高だった」「みんな最高に熱狂的!」と興奮している様子を見るのは、きっとこの日参加した人たちにとっても感動的なことだっただろうな、と羨ましく思いました。

「私はいつかこの日を振り返って言うでしょう。「あなたはこれをやったのよ。あなたがこれをやったの。小さなメスキートのゲイボーイがね」と」

「私がクロスドレッサーとしてマドリードを旅することになるなんて、誰が想像できた? ドラァグクィーンとして、パフォーマーとして、イリュージョニストとして、”なりすまし”として……、scratchから生み出された”アリッサ・エドワーズ”としてマドリードにいるだなんて、きっと100万年たっても信じられない」

これらのセリフからも、アリッサは常に自分の原点を忘れていないのだなと思う。
真摯に夢を生き、人々に勇気を与える存在であることに誇りを持っている姿が本当に大好きです。

ついにやってくるWERQツアー!

そしてこの、クィーンたちがそれぞれのベストパフォーマンスを見せてくれるwerq the worldツアーが、おそらく来年日本にもやって来るらしいのです…!

genxy-net.com

今までファンの方の撮ってる映像とかでしか見たことないんですけど、肉眼でクィーンたち見れちゃったら興奮で蒸発してしまいそうです…。
絶対に、なんとしてでもみたい、、、、という気持ちと、次のツアーにも日本を考慮に入れてくれるくらいの盛り上がりになりますようにという気持ちが同時に押し寄せていますが、
ともかくドラァグレースにハマるのに、いつだって今が最適のタイミングであるということはお伝えしたいと思います。

If you can't love yourself, how in the hell you gonna love somebody else?

最近、ルポールのこの決め台詞を思い返すことが本当に多い。


アリッサ推しになった経緯についてはこちらに書いています。
ichinics.hatenadiary.com