Bright Eyes/I'm Wide Awake, It's Morning

I’m Wide Awake,It’s Morning

I’m Wide Awake,It’s Morning

1998年のデビュー作では確か「奇跡の声」などというキャッチコピーがついていて、しかもその年は「奇跡の」が量産されていたこともあり、なんだかその言葉が余計に思えたりした。しかしあれから7年(!)近く経ってみると、そう言いたくなるレコード会社宣伝部の人の気持ちもわかるような気がする。
奇跡の歌声、と称されるべき人として、私がまず思い付くのはjeff buckleyなのだけれど、Bright Eyesコナー・オバーストの場合、ジェフのように純粋に歌が素晴らしく上手い、という訳ではないと思う。
その特筆すべきところとしてまず、震えるような歌声であることがあげられる。そして歌声による感情表現が素晴らしく豊かであると言うこと。これはjeff buckleyトム・ヨークにも通ずるところがある。
そして何よりも、Bright Eyesの作りだす音楽の核となるものは歌詞によって描かれる物語にあると思う。その情景描写と、物語の起伏に伴う歌声の繊細な変化は聴くものの耳を奪う力がある。

今回は2作品同時発売ということで、この「I'm Wide Awake, It's Morning」はグラム・パーソンズとの共演で知られるエミルー・ハリスが参加しているフォーク色の強い作品。もう一枚も買ったけど、今日はとりあえずこっちだけ聴いています。
今までの作品の流れから考えると、エミルー・ハリスとの共演はとても腑に落ちる。
カントリーやフォークの世界に留まらず、プログレッシヴな活動を続けるエミルー・ハリスとコナー・オバーストの間には非常に多くの共通点があると思うし、コナー自身のルーツの1つだったのだろうな、と。
輸入版なのでまだ歌詞は解読できていないのですが、アルバムを通して1つの物語になっているような印象です。70年代中頃のボブ・ディランのアルバムみたいな印象。素晴らしいです。
今までの作品が苦手だった人も、エミルーやディランが好きならこのアルバムは気に入るのではと思います。
もう一枚を聴くのが楽しみ。
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もう一枚の感想→ http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20050207/p3