ALEX CHILTON

ichinics2005-03-03





最近聴いてる自作テープ(テープじゃないけど)で、ALEX CHILTON が流行っている。もちろんもともと好きなんだけど、こんなに毎日聴くのが久しぶりなのでなんかしみる。
ALEX CHILTON は、もともとBOX TOPS というバンドでデビューし、その後一枚ソロアルバムを出した後に、BIG STAR を結成して一躍有名になった。BIG STAR は後にR.E.M.ティーンエイジ・ファンクラブなどの後継者(?)を生み出し、ミュージシャンズミージシャンと言えるバンドなのではないかと思います。
系統としてはパワーポップと称されることが多いけれど、いわゆるギターポップニューウェーブ系のバンド達が産まれる礎となったと言うほうが正確かもしれません。

BIG STAR の頃から、名カバーを生み出してきたチルトンは、後のソロ作品でも多くの名曲をカバーし、新たなる名曲を生み出しています。もちろんオリジナル作品にも名曲は多々あるのですが、私が今特に愛聴しているのは「クリシェ」に収録されている「There will never be another you」。60年代にクリス・モンテスがヒットさせたジャズの名曲ですが、今ではチェット・ベイカーの「シングス」に収録されているバージョンの方が有名かもしれません。
チェット・ベイカー・シングス
チルトンがかなりのチェット・ベイカーファンであることは、彼がチェットのトリビュートアルバムにも参加していることからもうかがえますが、この曲は特にお気に入りのようで、後の「loose soes and tight pussy」でも再演しています。クリシェのバージョンがチェット・ベイカー風ならルーズ〜のバージョンは肩の力が抜けた軽快なロックンロール。でもこの曲にはギター1本で歌う「クリシェ」でのバージョンが合っているように思います。
なんというか、雨の日に、あったかい部屋で、コーヒーを飲みつつ、本を読みながら聴きたい感じ。
チェットの歌声が中世的な湿り気のある声だとしたら、チルトンはもう少しルーズで愛嬌のある歌声です。
どちらの歌声も甲乙つけがたく好きなのですが、この曲単品で言うとチルトンの「クリシェ」バージョンの方がよく聴いています。
もし、どちらかのバージョンしか聴いたことのない人がいたら、是非両方とも聴いてみて欲しいです。
ところでALEX CHILTON は昨年発売されたライブアルバムが5年ぶりの新作でした。活動し続けてくれることに一安心しつつ、次の、できれば今度はオリジナルアルバムを聴きたい気持ちも募ります。聴けば聴くほど好きになってくような気がする。