- 作者: 村上春樹
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/03/31
- メディア: 単行本
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既に読んだことのある作品ばかり、とはいえ、いつものように改稿も加えられている。今回の場合は「レーダーホーゼン」が米国版から新たに(自ら)翻訳しなおしたもの。改稿ありだし、装幀も美しいし、買うことはためらわなかった。が、ためらわなかった理由はもう1つある。村上春樹が初めて「ニューヨーカー」の文芸部門のヘッド(編集長ということだろう)を訪ねた時、彼の書棚に「細雪」が3冊あることに気付いた村上春樹が、その意味について尋ねた際、かれはこう答えたと言う。
「その質問される度に、私はこの小説の素晴らしさについて語り、一冊進呈することができるわけだ」
という部分を立ち読みで読んで、私も3冊買いはしないけれど、もし「村上春樹の小説を読んだことが無い、けど読んでみたい」と思ってる人がいたら、この本を進呈してみようかなと思って買うことにした。
この本に収められている作品は好きなものが多い。今まであまり好きではなかった「緑色の獣」も、このような流れで読むと、アクセントになる作品だなと思った。
1つ気になったのは「納屋を焼く」。版面デザインの問題だと思うけど、「あのひとこと」は左ページの左下にある新潮文庫版が一番良い。ページの中央にあってはあの不吉な感じが台無しだと思う。