妄想代理人1話2話

妄想代理人(1) [DVD]
WOWWOW入ってないし、ユーロスペースでやったオールナイトにも行きたかったけど行けず、レンタルしようとしてもいつも貸し出し中だった「妄想代理人」をやっと見た。すごーい。もうオープニングから鳥肌がたった。
そもそも今敏さん監督のものは好きなんだけど、これはその中でも群を抜いて良い。すごい。マッドハウス特有のマットな絵柄も好きだし、音楽も素晴らしい。物語のテイストは「パーフェクトブルー」に近いミステリー。
都市伝説が実体化してしまう恐ろしさと、弱さやあさましさや善意や嫉妬などがごちゃまぜになった人間味溢れるキャラクターに圧倒される。すごいよ!DVDで欲しいかも!

第1話

鷺月子は人気キャラクター「マロミ」のデザイナー。次回作への期待をプレッシャーに感じていた月子はある日通り魔に襲われる。その正体は不明。月子もただ金色のバットを持った少年、ということしか思いだせない。そして、次第に月子の「狂言」ではないかと噂されるようになる。

登場人物が皆魅力的。バット少年が現れるシーンは本当に恐いけど、その後のマロミが動くシーンが猛烈にかわいい。このくたっとしたニュアンスがアニメで描けるのはすごいし、アニメでしか描けないだろう。月子の見ているホームページとバット少年で舞城王太郎の「バット男」と「阿修羅ガール」に出てくる掲示板”天の声”を思いだした。

第2話

バット少年の噂は近所の小学校でも噂になっている。そんなある日、学校のアイドルとしての地位をほしいままにしていた少年、鯛良優一は「バット少年」の特徴と良く似ていたことから、「おまえが犯人じゃないか」という噂をたてられてしまう。そして、人気者の座から一気に転落する。そんな中、唯一の理解者である転校生うっしーに対し、優一は恨みを向けるようになる。

善意の転校生うっしー対人気者イッチー(優一)の対立構造とその入れ替わりで「野ブタ。をプロデュ−ス」を連想した。まあこの場合はプロデュースしないけど、イッチーの墜ち方が痛々しくて、あの小説を読んでもの足りなく感じた理由は、このような墜ち様だったんだなと思う。「勝ち/負け」にこだわらざるを得ない現代の子どもが感じる重圧、閉塞感が再びバット少年を生む。噂によって濡衣をきせられてしまうイッチーのような少年は現実にもいるかもしれないと思うとこわい。
オープニング映像にイッチ−が波に飲まれるシーンがあるんだけど、村上春樹さんの「七番目の男」という短編を思いだした。オープニング映像も本当に良い。

公式サイトでいろいろ見れるのうれしい↓
http://www.mousou.tv/

あの数式が510(部屋)と1(イッチー)って気付いた妹すごーい。