『A River Ain't Too Much To Love』/Smog

A RIVER AIN'T TOO MUCH TO LOVE

A RIVER AIN'T TOO MUCH TO LOVE

スモッグことビル・キャラハンさんの新作。私はこの人の声が物凄く好きなのだけど、今回のアルバムは特に、最高だといいたい。詩も素晴らしく(対訳も良いのが嬉しいです)全体を通して見るとアルバムタイトルにもあるように、水辺の風景を描いた曲が中心となっています。
私がSmogのアルバムを初めて買ったのは1997年に出た「RED APPLE FALLS」で、それと同じく、ジム・オルークプロデュースにて製作された「Knock Knock」の2作がとても好きになり、遡って聞くようになった。前作「Supper」、前々作「Rain on Lends」では(SMOG)と括弧付きの名義だったのだけど、今回は再びSOMG名義でのリリース。それが何故か、というのは情報が少ない(というのと海外サイトの英語が読めない)のでなんとも言えないのですが、括弧付きの名義ではバンド寄りの音作りであり、Smogの名義では歌がメインであるということなんじゃないかなと思います。
しかし名義に関わらず、彼の声は曲を重ねる毎に研ぎすまされていく様な気がする。耳に残る低い声は、呟くように、ささやくように言葉を吐き続け、そのひとつひとつの単語を真っ暗な井戸に向かって落としていく。それは、このアルバムに収録されている「井戸の歌(THE WELL)」という曲の中で描かれる光景のようで、そうして井戸の底に落とされた声は、アルバムを通して聴くたびに、耳元からギターのフレーズにのって転がりはじめ、身体の中を流れて行くような感じがする。
うまく言えないけど、これから何回も繰り返し聴くアルバムになることは確かで、私はやっぱりSmogが好きだ。
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ところで私がSmogを知った切欠はウィル・オールダムことBonnie "Prince" Billyこと Palace Brothersからの流れなのですが、彼らが所属するシカゴのインディ・レーベルDrag city周辺には好きなアーティストが多いのに、名義がいろいろなアルバムがあって困る。パレス関連の音源を集めるのには下北にあったonsaに大変お世話になったのですが、onsaが恵比寿に移転してしまったのはほんとに残念です。恵比寿遠い。