Dollar Brand/「African Piano」

最近ipodに入れて久しぶりに聞いたら、あまりにもかっこよくて感動してしまった。

アフリカン・ピアノ

アフリカン・ピアノ

ジャズにはまっていた頃、常連のおじさんたちに教えてもらいながらそれこそ手探りで好みのアーティストを模索していたのだけど、私にとって、ジャズをジャズとしての枠組みの外で楽しむことを教えてくれたのがこのアルバムだった。
「African Piano」は無伴奏のピアノ・ソロアルバムで、全てがほぼ即興的に、曲間の区切りなく演奏されている*1。まるでライブを聞いているかのような、躍動感に溢れた演奏は耳を惹き付ける強い力をもっていて、アルバム一枚を聞くのがほんとうにあっという間。
Dollar Brand(Abdullah Ibrahim)はアフリカ出身のジャズピアニスト。
「ジャズというものはアフリカ人によって生み出されたが、それは民族音楽ではなく、アメリカという場所で、ヨーロッパ文化に触れたアフリカ人によって生み出されたもの」だと言われているけど、その辺りの歴史はまだ勉強不足。しかしDollar Brandのように、アフリカで生まれ育ったジャズミュージシャンが貴重な存在であることは確かだろう。
Dollar Brandの音楽は、彼がアフリカに生まれ育ったということによってか、アメリカ的なジャズというものとはかけ離れているような気がする。内省的なエネルギーと言うか、理知的な野性味というか、聞いたことのない和音やフレーズがうねるようにして雄弁に語りかける完全にオリジナルなジャズだ。
たった一台の楽器がこれほどまでに豊かな音を出せるってすごい。文句なくかっこいいアルバムで、何度聞いても飽きない。
むしろジャズ好きでない人に聞いてみて欲しい作品です。

*1:ただし、A面B面に分けられていたので、1回は区切れる