フラワー・オブ・ライフ/よしながふみ

フラワー・オブ・ライフ (1) (ウィングス・コミックス)

フラワー・オブ・ライフ (1) (ウィングス・コミックス)

「愛すべき娘たち」*1の次はどれ読もうかなといってたら友達に勧められたのがこれでした。完結してるのから読みたいなーって気持ちはあったんだけども、エピソードごとに完結してる話とのことで、1、2巻まとめよみ。
転校生花園春太郎とその周りの人たちを描く学園もの。一見すると美青年な不倫に悩む女教師、美形で運動神経抜群なのにオタク街道まっしぐらの真島、善意の塊のようだけど人見知りの三国。風変わりな人々にも思えるけれど、このお話に出てくる人たちはみんな良い奴だ。
第1巻の冒頭が、転校生である春太郎が自分の病気のことを告白するところから始まるように、物語全般は春太郎の生きる喜びみたいなものに覆われていてとてもポジティブな空気に満ちている。
しかしそれだけではなくて、例えば94pで先生と話をするシーンなどで、人間関係の難しいところにしっかりと触れ、しかもそれをまたすごく気持ちのよいやり方で解決に導くのだからすごいなぁと思った。
そんでもって2巻。第2巻は丸ごと文化祭にまつわるお話なのだけど、この巻の中心人物はほとんど「最終形態オタク」(と登場人物紹介にかいてある)真島だ。真島を描くのはほんとに楽しそう。そしてほんとおいしすぎる。学園生活の中での真島は本当に孤高の人と言う感じで、彼の周囲の眼を気にせず自分の欲望に忠実な様には若干の憧れすら感じてしまう。性格は良いとは言えないけども顔は良く、だからこそおいしいシーンがたくさんある。特に先生とファミレスいくとこね。あーそうかーそれはたのしいねー。と眼が細くなってしまった。あり得ないけども。状況的には、くらもちふさこさんの「海の天辺」を思いだすけど、こちらはその「状況」の話だからまた全然意味が違う。けどもしかしたら、このよしながふみさんという漫画家さんは、シチュエーションという形を描いているようで、いきなり物語的なカタルシスを描いたりしてくれる人な気もするので、続きがどうなるのかさっぱりわかりません。
なんだか作者の手のひらで踊らされている気分だけど、ほんと面白かった。ただ2巻でいきなり主人公の存在感が薄くなってしまったのが気になるけども、まぁ皆が主人公ってことでいいのかな。
フラワー・オブ・ライフ (2) (Wings comics)

フラワー・オブ・ライフ (2) (Wings comics)

*1:愛すべき娘たちの感想→http://d.hatena.ne.jp/ichinics/20050715/p1