銀河ヒッチハイク・ガイド

ichinics2005-10-11
監督:ガース・ジェニングス/原作:ダグラス・アダムス
とっても面白い映画でした!! 口半開きで笑いながらとても楽しい時間を過ごさせてもらいました。映画っていいなぁ。ほんとあっという間だった。私は残念ながら原作も読んでないしテレビシリーズも見てないんですけど、そういった予備知識なしに見ても十分楽しめる映画だったと思います。
私が最初にこの原作小説のことを知ったのは、Radiohead「パラノイド・アンドロイド」のタイトルの由来が映画にも登場する超悲観的なロボット、マーヴィンにあるということからだったんですけど*1、確かその当時は絶版で、そのまま忘れていたんでした。早速帰りに文庫版で最近出た原作小説を購入したので、読んだらもう一度見に行きたい。それまでやってますように!!
公式サイトにはゲームとかもあって楽しい→ http://www.movies.co.jp/h2g2/
以下、ちょっと、まとまらないながらも映画の感想を書いてみます。
* * *
のっけからイルカたちに見放された切なさに呆然としつつ(ここで流れる歌がまた良かった)、

「地球の皆さん、こんにちは。銀河バイパス建設のため、今から地球を取り壊します」

という、至極お役所的な融通のきかない一言で地球が消滅してしまうところから物語がはじまります。この地球消滅シーンがまたすごい。とにかくテンポがよくて、あのカメラがひいていく感じがとても気持ちいい、というか格好よかった。
その後はいろんなドタバタがありつつ、「無限不可能性ドライヴ」をくり返しながら「究極の問」の答えを求めて旅がはじまるんですが、その旅の同行者がまた皆魅力的。情けない主人公アーサー役のマーティン・フリーマンは役柄にぴったりだったし、とその意中の女性トリシアの子はアラレちゃんみたいな眼鏡がかわいかった。それからアーサーの友人である地球に暮らしてた異星人フォード役はなんとラッパーのMOS DEFモス・デフさん演技うまい。パンフ読むまであのモス・デフさんだって全然気付かなかったです。そして、ちょっと頭のいかれた銀河系大統領ゼイフォードにはサム・ロックウェル。あーこの大統領はすごく良かったです。レモンが切れてるときの何にでも脊髄反射なゼイフォードがやたら面白かったです。それからパラノイド・アンドロイドのマーヴィンもかわいかった。ラストのマーヴィンが「頭痛がする」というシーンではなんかちょっと泣きそうだった。いや、ちょっとのめりこみすぎです。
ともかく、各キャラクタのテンポのよいやり取りとともに、哲学的なように見えて、ものすごくくだらなかったりする展開がくり返されるのですが、原作のダグラス・アダムスさんはモンティ・パイソンのメンバーとも関わりのある人だったんですね。しかも、ジョン・クリーズグレアム・チャップマンエリック・アイドルの後輩なんだそうです。「未来世紀ブラジル」っぽいなーと思いながら見てたんですが、それを知って納得。
あーと、映画のことに話を戻します。
(以下ネタばれ)
今回見ていて特に印象に残ったのは、「無限不可能性ドライヴ」の中で、自身が他の物質、毛糸人形になったり、目玉に花が咲いたり、変化を繰り返しながら飛んで行くシーン。登場人物たちはそんなことにはおかまいなしなんですが、ふと永井均さんの本で読んだ「私が私であるとはどういうことか」という疑問を思いだしました。
ラストシーンで、主人公はバックアップをとってあったことによって蘇った(それは正確には別物なのだけど)地球において「何かいらないものはないか?」と問われ、それは自分だ、と答えるのですが、これはそのまま、自分のままで旅を続けるって意味なんですよね。
これがすごくいいなぁーと思いました。先述の永井均さんの「私・今・そして神」の中にも、宇宙の、どこか別の星にいるもう1人の自分の可能性についてかかれた箇所があったんですけど「今、ここ」にいて考えて判断を下す自分だけが連続している存在であって、それが続いている保証なんてないけれど、「今」の思いだけで次を選ぶ事ができるってのは、なんだかすごく楽しいことだなと思いました。「とりあえずボタン押してみればいいじゃん!」なんて気楽な感じに、とはまあいかないことも多いけど、ともかく、自分がいるってのもそのくらいの確率で、それはとてもすごいことなんだなぁとか思ったりして。
それから、スーパーコンピューター、ディープ・ソートが、750万年かけて出した究極の問(The Answer to life the universe and everything)に対する答えが、限りなく意味のないものである(と作者自身が言っているらしい)ことなのも、様々な憶測をよんでいて*2面白い。

ともかく原作読んでからまた見たいです。大満足。

ところで映画館内に飾ってあったこれ↑のアーサーのカツラはあまりにも手抜きな気がする。